「…何か、あり―」
「―ある」
質問を途中で遮り、レイは、両手で、その首筋を包み込むように、シセラに触れる。
ひんやりとした心地いい感覚。
シセラの頬が僅かに赤らんだ。
「マ…スター?」
動揺がシセラに表れる。が、レイはそれに気付く様子はない。
「もういい。…今日は休め」
首から手を離すと、レイはまたソファに座り込む。
「え…、でも、」
「休め」
「なんで―」
「休めと言ってる」
「…」
これ以上やっても埒があかない。
「失礼します」
シセラはペコリと礼をすると、部屋から出て行く。
廊下に出ると、先程までは感じなかっただるさが一気に戻ってくる。
「…でも、お休みをもらえてよかったのかもしれない」
今朝、自分が何をしていたのかが、あまり記憶にない。
このまま、午後まで過ごせるはずが無い。
そんなことを考えながら、自室に向かった。
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