真正面に立たせたシセラの、純白の羽を屈んで見つめると、また立ち上がった。
「目を閉じろ」
言われるままに、シセラは目を閉じる。
ふと、体中の力が抜ける感じがし、バランスが崩れる。
しかし、その感覚もすぐになくなり、丁度その時に、
「もう、いいぞ」
レイの声がした。
目を開けるが、当然、初めは変化には気付かなかった。
しかし、
「あ…」
肩に掛かるのは、漆黒の髪。
背中から生えるのも、白ではなく、暗黒の翼。
壁に掛かる鏡を見ると、瞳も血のような真紅になっていた
「単純な変身魔法にしては、上出来だな」
レイが折れていない方の翼を持ち上げながら、満足そうな笑みを見せる。
同時に、ベルが鳴るのが聞こえてくる。
シセラは小走りに扉まで向かうと、ゆっくりと開いた。
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