書架は、昨夜、本を戻すついでに少し、と整頓をしたせいか、それほど散らかってはいなかった。

しかし、まるで城にあった図書館のように広い。

それどころか、天井に高さがあり、比例して本棚も背丈が増している分、城のものよりも大きいと言えるだろう。

シセラは古く、長年使用されていなかっただろう、薄汚れた箒を手に、床を掃き始めた。

数個ずつ列をなす本棚を間を丁寧に掃きながら、きれいに並べられた本の背表紙に目を通していく。

文字は、読めるはずが無いのだが、シセラは不思議と自分の心が落ち着いていくのがわかった。

部屋の隅まで来て、戻ろうと振り返った時、一冊の本が目に入った。

真っ黒な、背表紙。
普通、書名などが記してあるところには何も書かれておらず、また、他の本よりも少し古いものに見えた。

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