真っ暗闇の中で



ザーッという水の音に混じって澄んだ歌声が室内に木霊する。


部屋に備え付けられたバスルームで、シセラはシャワーを浴びていた。

足の傷が治り、包帯も取れた。そこでシャワーが解禁となり、シセラはようやく濡らしたタオルで体を拭く日々から逃れることができた。


いつもよりも長く入ろうと思い、湯船にお湯も溜めている。

体を洗い終われば、すぐに柑橘類の甘酸っぱい香りのするお湯に身を浸した。


嬉しそうにすぅ、と目を閉じ深呼吸をし、ふんわりとした香りを胸いっぱいに吸い込む。


それからバスルームないはシン、と静かになる。時折、ちゃぷん、と水の音が響く。


たっぷり時間を使い、体が十分温まったところで、

「…もういいかな」

長い長いシャワータイムを終えた。

ふわふわの真っ白なバスタオルが体に付いた水滴を吸い上げる。

そうして、更に時間を使い、ようやく後は髪を乾かす段階に入ったとき、



バチッ



嫌な音がして、室内が暗くなった。



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