「…っうぅ…」
体に密着する粘土質が呼吸を困難にする。
ジタバタと暴れてみるが、なんの手応えもなくただ体力を消耗するだけだった。
「っ、こ、のっ!」
どんどんと増していく疲労に、レーヴの抵抗も少なくなっていく。
「っ…」
仕方ない、とレーヴは呟くと、
「離 し て !」
鋭いナイフを今度は深く、幾度も桃色の肢体に斬りつけた。
「うっ…」
妙に苦しそうな声が聞こえ、レーヴはようやく解放された。
地に膝を付き、乱れた息を整える。
隣でドサリ、と少年の体が崩れた。
レーヴが近づき体を診ると、腕にうっすらとみみず腫れができていた。
「ごめんね…」
悲しそうな顔で、その痣を撫でると、傷が消えていく。
その腕が半透明化しているのに気付き、手を離した。
「…またね…」
消えかかる少年を残して、レーヴは夢を後にした。
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