「数ヶ月ぶり…かな」

月明かりに照らされた薄紫の髪をなびかせて、凰鬼が静かに言った。

「ンだよ」

早速喧嘩腰になる蒐に、凰鬼は淡々とした口調で、

「別にこっちだってお前に会いたくて来たんじゃない」

そう言い放った。

「あ"ァ?」

「忠告しに来ただけだよ」

人差し指を唇の前に立てる。

「…莎夜のこと」


"莎夜"


その名を聞いた瞬間、蒐はその先の言葉に興味を無くしたようにソファに仰向けになる。

「聞かないのは勝手だけどね」

凰鬼は構わず続ける。

「すぐに君も思い知るよ。

…体調、どう?」

三日月を横にしたような笑みで、嘲笑った。

「はァ?」

凰鬼の登場時から、苛立ちをつのらせていた蒐は、その意味の解らない発言についに切れた。

「煩ェんだ―」



ドクン



蒐の心臓が痛いくらいに強く打った。

「―っ!?」

次第に鼓動が速く、激しくなり、呼吸も荒くなる。

痛む胸を蒐は服の上から押さえた。

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