「遠いところ」
「ここよりも、ずっとずっと遠い場所」
神父はその言葉に目を丸くする。
「二人で来たのかい?」
「そうよ」
「二人で」
少女達は顔を見合わせて、ねー、と言い合った。
「危険じゃないかい?」
更に神父が訊ねると、
「全然」
白い少女が答え、黒の少女が、
「だって、私達、神父さまと"同じ"だから」
愉しそうに、口元に笑みを浮かべそう言った。
「おな…じ?」
その一言が脳に達し、意味を持つまでに数秒かかった。
「君達は…!」
愕然とする神父を二人はいたいけな表情で見上げる。
「少し休みたかっただけなの。何もしないよ」
「今から出発するしね」
少女達は仲良く互いの手を握ると、入口の扉をゆっくりと押した。
「素敵な場所をありがとう」
「また来るね」
口々に言い、無邪気な笑い声を余韻に二人は去っていった。
[←] [→]
BACK