Interval 3
海に近い、小さな村。古い木製の造りの家々が並ぶ、その外れの小高い丘に、他の建物とは違うレンガ造りの教会が建っていた。

その教会から流れてくる、フルートのように澄んだ音色。

それが、潮風に運ばれ、外に出ていた神父の耳に届けられた。

「…おや」

今日は来客はいないはずだ。きっと突然の来訪者なのだろうと考え、彼は教会の扉を開けた。

すぐに目に飛び込んできたのは、"白"であった。

よく見ると、"白"いのは少女だった。白雪のように淡く、ふんわりとした肩までの髪と、同じくらい薄い肌。着ている純白のワンピースが色褪せて見えた。

隣には、闇色の長髪をした少女。こちらも比べようも無いくらい白い肌で、白い少女とは対象的な漆黒の服を着ていた。

そして、この少女の唇からは、先刻聞こえてきたフルートの音のようなメロディーが紡がれる。

高音が伸び、室内に余韻が響く。音が止むと、今度は控えめな拍手があった。

「あ…」

二人の少女が反射的に扉の方を振り向く。

神父は拍手をしたまま中まで入ると、

「こんにちは、お嬢さん達。綺麗な歌声だったよ」
と、少女を讃えた。

「ありがとう、神父さま」

「こんにちは」

少女達が交互に言う。

「勝手にお邪魔してごめんなさい」

片方が付け加えると、神父は優しく微笑んだ。

「気にすることはないよ。…ところで君達はどこから来たんだい?」

その問いかけに二人は悪戯っぽく笑って答えた。
 
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