「―!」
莎夜がハッと息をのむ。
麻耶が心配そうに訊いてきた。
「どうしたの、莎夜?」
前の二人とは違う、優雅で穏やかな微笑みを称えた彼は、莎夜を真っ直ぐに見つめていた。
「ううん、なんでもない」
莎夜がそう言うと、麻耶はホッと息を吐いた。
「…で、どうするの、麻耶。」
チラッと高校生たちを一瞥する。
「いいんじゃない?」
三人に言ってから、ボソッと、
「…後ろの人は」
と莎夜にだけ聞こえるように言う。
その発言に莎夜は微かに眉を寄せたが、すぐに普通の顔で、
「麻耶がそう言うなら」
と、それとはわからない作り笑みをした。
「あなた達は私とね」
莎夜は二人を代わる代わる見て言い、
「どうせ、あなたは麻耶の方がいいみたいだし」
と後ろの一人に投げかけると、二人の手を引いていった。
「…え、ちょっと、莎夜ぁ」
不安げに呼びかけた麻耶は、残された青年に引き止められる。
「僕たちも行こうか」
整った顔の彼に微笑まれ、麻耶は頬を赤らめた。
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