「それにしてもさぁ、人、凄いね」
気まずくなった空気を変えるように、麻耶は駅を見回す。
「うん」
「少しうるさい…場所変えよー」
「いいの?」
そんな問いかけに、麻耶は手をヒラヒラと振り、
「いーの。溜まり場ならいっぱいあるから」
立ち上がると、莎夜も座っていた石畳から腰を上げた。
「ねぇ」
歩き出すとほぼ同時に、二人は声を掛けられた。
そこには、少し年上と思しき高校生三人。うち二人は、麻耶以上にだらしなく制服姿で、莎夜はあからさまに嫌な顔をする。
「…なんですかぁ?」
麻耶も敵対心を露わにする。
女子組にわかりやすい嫌悪感を見せられながらも、男子たちは余裕の態度でいた。
「…別にぃ」
「ただ、ずっと暇そうにしてるからさ」
何となく、言わんとしていることはわかった。
莎夜は、喋り続ける二人を交互に見比べて、その後ろに控えた三人目に目をやった。
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