無抵抗に飛ばされた体が、激しく幹に打ち付けられた。


「―はっ」


肺から息が漏れ、激痛が背中に走り、少女の意識が朦朧とし始める。

それでも無理やり体勢を立て直そうとするが、そんな間も無く、少年は細い首を持つと、軽々と少女の体を持ち上げた。

「うっ…」

苦しそうに顔を歪め、必死に手足を振り回し抵抗を図る少女。

笑みを浮かべ余裕を見せる少年は、しばらくそれを眺めていた。

「ンなコトしたって無駄なんだ―」

少年は、少女がニヤリと悪戯な笑みを浮かべるのを見逃さなかった。

同時に、鋭いナイフの先が視界の端に映る。


「チッ!」


首筋に刺さるすんでのところで、空いてる方の手でそれを奪い取った。

苦しみに歪んでいる少女の表情に悔しさが滲む。

「惜しかったなァ」

ヒラヒラと見せびらかすようにナイフを振ると、すぐに躊躇なく少女の脇腹に深々と刺した。

研がれたナイフはあっさりとその皮膚を破り、溢れ出た緋色の血が、雪のような肌を汚す。


「―っ!」


歯を食いしばった少女の口から、それでも掠れた悲鳴が上がる。

引き抜かれたナイフには、根元までベットリと血が付いていた。

少年はそれをキレイに舐め取る。

そして、崩れ落ちた少女の前に屈み込むと首筋に噛みつこうとした。
 


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