なんで俺がこんなこと
あの日から一週間、今では一緒に帰るどころか言葉さえ交わしていない。
(あいつほんとに何考えてんだよ!)
俺のイライラも最大限に達していた。
今まで軽い喧嘩をすることはあってもいつも渉が先に折れていたし、ここまで長引くようなことは一度もなかった。
(あいつ、このまま別れるようなことになってもいいのかよ?)
そう思いこっそり右斜め前の席で授業を受けている渉の後ろ姿を睨むように見つめる。
俺がこんなにイライラしてるってのに、その原因であるあいつはいたって普通だった。
(たく誰のせいだと思ってんだよっ!………まさかっ…)
そこでふと俺の脳裏にある事が思い浮かんだ。
(まさか…あいつ俺に飽きたのか?……誰か他に好きな奴ができた…のか?)
そう思った瞬間頭に浮かんだのは、ケイトさんと先日会った恒の顔。
ケイトさんはないだろう。
彼には溺愛している恋人がいる。
では恒か?
この前、二人は随分と親しそうに何か話していた。
(……まさか…。)
そう思いながらも結局、その日は一日中胸の中のわだかまりが消えることはなかった。