ああいう男が好きなのかよ
渉とちゃんと付き合い始めて3ヶ月、最近あいつは妙に可愛くなった。
もともと素材はそんなに悪くない上に俺と付き合い始めて自信がついたのか、明るくなったしよく笑うようになった。
あいつを可愛くしたのが俺だとみんなに自慢したい気持ち半分、あいつの可愛さは俺だけが知ってればいいと思う気持ち半分…
男心は複雑だぜ。
そんなことを考えている今日この頃、俺は久しぶりに渉を連れてクラブに顔を出していた。
渉と付き合うようになってからはクラブにもあまり顔を出していなかった俺だが、今日は幼馴染みであり悪友の東間恒(アズマ ヒサシ)に突然呼び出された。
それも俺の恋人が見たいからと渉も一緒にだ。
恒は俺よりも3つ年上の幼馴染みで、悪い遊びは全て彼から教わった。
俺がモデルとしてデビューした頃から撮影についてきていた恒は、だんだんとカメラに興味を持ち始め高校を卒業する前には単身ニューヨークへと渡米。
もともとセンスのあった恒はどんどん才能を開花させ渡米から3年、今では若手の中でも注目のカメラマンだ。
今回はニューヨークを拠点にしている彼の久しぶりの帰国だった。
「成也の周りって本当にすごい人ばっかりだね。」
恒の話を聞いた渉は、心底感心したような声を出した。
「まぁな。てか周りってなんだよ、俺もすごい人だろうが。」
「え?そ、そうだね!…でもそんな人と会うのなんか緊張するなぁ。」
「お前、今適当に流しただろ!」
最近の渉は可愛いくなっただけでなく少々生意気だ。
「そんなことないよ〜」と笑っているこいつにお仕置きをしてやろうと手を伸ばした瞬間、
「成也!」
いきなり名前を呼ばれ、振り返るとそこに恒がいた。