「俺が渉君といるのがそんなに気に入らないか?」

人気のない所に連れて来られ腕を離された瞬間、まるで独り言のようにそう呟いた恒。それに対して俺は、

「あぁ気に入らねえよ、悪いか。」

と強く言い返してやった。

「いくら恒でも、渉に手出したらただじゃおかねーからな。」

そう言ってまっすぐ恒の目を見つめる。

そんな俺とたっぷり10秒くらい無言で目線を合わせていた恒は、そっと視線を反らすとまるで降参するかのように両手を胸の前に掲げた。

「わかったわかった、全て話してやるよ。」






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