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「どう言う事じゃ!」
「左近、そいつを俺の屋敷から追い出せ。俺はやらなければならぬ執務がある。政宗の邪魔で滞っては秀吉様に顔向けが出来ぬのだよ」
「あー、伊達さん。殿の機嫌と執務が滞る前にお帰り願えますかい?」
「待て、三成!貴様は兼続と恋仲ではないのだな?」
「俺ではなく、幸村が兼続の相手だと言ったであろう?そして、兼続は貴様の存在が欝陶しいと言っていた。わかったなら帰れ」
三成は目で左近へと政宗を力付くで追い出す様に伝え、文机の前に座ると政宗の存在を無視する事に決めたのか筆を持ち執務の続きに取り掛かり出した。
「殿」
「左近、お前は知ってるだろう?これもあの山も、今日中に成さなければならん執務だ。俺は纏めて休みを取り、あの馬鹿共と花見をしてやる予定の為にも終わらせねばならんのだ」
「幸村と直江さん、もう行き着く所まで行き着いた仲なんですかね」
「知らん。何故、俺が兼続と幸村の仲が何処まで進展しているのか知ってなければならんのだ。そんな事より、お前は政宗を連れて出ていけ。邪魔をすれば全部をお前に割り振るが?」
兼続に欝陶しい扱いをされているのを知り放心状態の政宗を、手にしている筆で指し左近へ脅しを込めた言葉を言いながら改めて紙へと視線を落としたその時、廊下に再び二人分の足音が響いた。
「三成、聞いてくれ!」
「貴様らも、か…此処は俺の屋敷だ。小姓に伺いをたてろ。俺は忙しいのだよ」
「ああ、すまん。…と、待て。三成…何故、山犬がお前の屋敷で固まっているんだ?」
「お前と俺の件の噂の真相を聞きにわざわざ、侵入したんだろう。左近が連れ出ぬから、そこにいるだけだ」
「政宗殿、お久し振りですね。」
収拾がつかない状況になったと、三成は執務を諦め出来なかった分は左近へと押し付けると心に強く決めては筆を置き、文机を横へと軽く動かし兼続と幸村に座る様に促した。
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