金よりも大切な

傀儡の仕込み用に材料が欲しい。とリーダーに言ったら"資金が足りない"と無表情で返された。
この前もアンタはそう言って俺から逃げた。
暁って組織はどうしてこうも金不足なのだ。いつでもどこでも、
「金が無いから駄目だ」
というセリフが出てきて物事が完結させられる。中には絶対それを理由にやり逃そうと思われるものもある。

問題であるのが、俺達のコンビが特に資金を消費しているのが現状らしいということだ。しかも、どちらかというと俺が。
相方の武器である起爆粘土が何を材料に出来ているのかは知らないが、それにかかる費用は俺の半分程度。
リーダーにとって最も厄介な奴は俺、ということか。

「材料の費用は自分で稼いでくれないか」

今日はそんな言葉を受けた。確かにそうだな、と俺は納得した。
なので考えてみたが、…賞金首を狩ろうとすると角都が独占し怒るので無理なのだ。俺には奴と戦ってその座を奪う程の執着は無いのだし。
なにか簡単に稼ぐことができるものはないだろうか…。

そんな時、脳を操作された俺の部下の一人が良い情報を持っていた。
"俺達のために働いてくれたら金は多くやる"と宣伝する闇商売人がいるらしい。

俺は直接その者に会いに行った。その者達、の方がいいだろうか、いざ会ってみれば奴等は男四人の団体だった。

「金額はアンタ……っと、サソリさん?が好きなように請求して構わん。が、後払いになるぜ」

隊長格の男はそう言った。年齢は25歳程度、茶色の髪は短く逆立てていた。
俺が頷けば、近くにいた男が急に肩を抱いてきた。本体で赴いたので身長が大分負ける。
そいつは俺を触った途端少し動揺を見せ、その動作に連動するように隊長格は言う。

「アンタその身体、造りモンか?」

働く上で身体が造り物だと何か問題があるのか、と問えば奴等は唸った。

「なら…、」

よくわからないが俺は早く契約を済ませたかったので、奴等の納得するように、あまり深く考えず案を出した。
奴等は「了解した」と静かに笑って答えた。


───────────────


デイダラはアジトからかなり離れた薄暗い森林の中を一人歩いていた。特に意味は無く、散歩という程度に。
すると、デイダラの前後からガサ、と木々の音を立て見知らぬ男達が現れた。
「コイツか?」
「そうだろ多分。あの人が言っていた特徴に当てはまる」
「女……じゃないよな、まさか」
「だから、あの人は"男だ"って言っていただろうが」
男達はデイダラをジロジロと見ながら会話を始めた。デイダラは、内容はよく理解できないがおそらく自分のことなのだと知った。

「攻撃とかしないでくれな。俺達、お前さんの敵ってわけじゃない」

茶色の髪の男がゆっくりと近づいて、デイダラの頬を撫でようとした。しかしデイダラは素早くその手を払い後ろに下がった。

「なんだよてめぇ等、うん」

周りにいる男達はまた会話をする。
「ホラ、ちゃんと男だろ」
「かなり子供じゃないか」
「つーか生意気じゃない?」

茶色の髪の男は、やれやれと肩を落とし、デイダラの後ろにいる二人に目配せした。
そして男は印を結んだ。途端にデイダラの身体は力が緩み、地に膝をつけてしまった。

「なっ、力が…、」

後ろの男二人のうちの一人が四つん這いになるデイダラの両腕を強引に引き、腰の辺りに抑えつけた。後ろに引かれたことでデイダラは尻餅をついた。足にも力は入らなく、ただぶら下がるだけだった。

「雷遁のね、まぁ身体を麻痺させて動かなくする術だから死にゃしないぜ」

「残ったお前等二人は周りを見張れ」と男が言うと、佇む二人が消えた。
デイダラはかなり動揺していた。

「恐がんな恐がんな、」

茶色の髪の男はデイダラの正面に膝立ちになり、彼の下半身の衣服を下着ごと下げた。男はそのままデイダラの性器を握り、弄る。

「なに、すんだよ!!」

その手が先端を押したり、撫でたりするものだからデイダラは反応し始めた。男はもう片方の手を秘部に近づけ、指を二本、蕾に射し込む。

「ぅ……っ」

デイダラが唸った。
今、自分の両足は大きく開かれ、秘部を見ず知らずの男に晒している。ということが恥ずかしく、悔しかった。顔は真っ赤だ。

「あんま濡らしてねぇんだけど…俺の先走りでなんとかなるかな」

そう言い男は自らの性器を衣服から取り出した。デイダラのものより幾分大きなそれは、勃起し先端からの液体でヌルヌルとしていた。
デイダラを捕らえる後ろの男がニヤリと返答する。

「お前、早くヤりたくて仕方無かったみたいだな」

その言葉を聞き、正面の男の視線を感じた次の瞬間、デイダラの大して慣らしてもいない蕾に異物が押し込まれた。

「いっ……っぁ゙…」

激痛が走る。デイダラは思わず悲鳴を上げ足を強張らせた。
男は自身の性器を少し抜いたり、奥に挿したり。段々と性器はデイダラの中をスムーズに動き出し、次第にまた大きく硬くなった。
そしてある一点をそれが突いた時、デイダラの反応が変わった。

「ぁ!」

身体が熱くなっていき、脈が速くなる。
男は黒い笑みを浮かべ、デイダラの立ち上がってしまった性器を上下にしごきながら自身の性器をその一点に突き上げた。

「や…あっ……ぁんッ」

デイダラは、自分でも聞いたことのないような卑猥な声を耳に入れたことで余計感じてしまう。声を抑えようと思っても下腹部の熱で思考が乱れ、脳は何も判断できなくなっていた。

「あー、血出ちまった…。お前さん初めてだったか?…結構ヤってそうに見えるんだけどな」

男はうっとりとデイダラの顔を見、更に性器を奥へ奥へと進める。
侮辱されたような言葉にデイダラは反論したかったがやはり無理だった。口を開くと喘ぎ声しか出てこない。

「いいなー。俺、暇なんだけど」

後ろの男が喋る。片手でデイダラの髪を撫でていた。もう片方の手で封じるデイダラの両手は、先程と比べ全く抵抗が見られない。

「この前はお前、契約相手独占しただろ。だからこの子供は俺のモンだ、っ…」

正面の男はそう言った直後、デイダラの中に精液を吐き出した。そのせいでデイダラも限界に達し、叫び声と共に射精した。


「身体の麻痺は今日中には無くなると思う」

男は用が済んだらしく自身の性器をしまい、デイダラの身なりも整えてやりながら話す。
後ろの男はデイダラの両手を解放したが、力を入れられない彼の身体を支えている。デイダラはぐったりしていた。

「何でこんな、こと……しやがる…うん」

精一杯の睨みを男にきかせる。すると正面の男は後ろの男と顔を見合わせ、言った。

「お前さんの相方、金に困ってるみたいでよ。お前さんを売ったんだぜ」

デイダラが目を見開き静止した。開いた口が塞がらない。

「まぁ始めはこんな子供相手に、って思ったが…。お前さんの"初めて"はかなり良かったよ…ククッ…」

男は嫌な笑い方をしながらデイダラの肩を思いきり掴み、耳の傍で囁く。

"もう一回、お前さんの中に俺の精液出して、その腹埋めてやろうか?"

デイダラの見開いたままの目から涙が流れた。
その時、近くの木から何者かが飛び降りてきた。


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俺は、こんなことになろうとは微塵も思っていなかった。
見張りらしき男二人の首を飛ばした後その面を見て、契約相手の男どもだと知った。そして木の幹を渡り、少し先に進んでみるとその男どもの残り二人もいた。俺の相方も、共に。
しかも俺はどうやら遅かったらしい。アイツの衣服は事後に整えたような様子で、身体中脱力していることがわかる。

例の隊長格の男がこちらに気づきかけたその瞬間、ソイツの間近に移動し股間に毒針を勢い良く刺した。なにやら絶叫し地面でのたうち回っている。俺は思いきり首めがけて踏んだ。鈍い音が森に響いた。

「てめぇ、そんな粗末なモンを俺の相方に、…」

言いかけたが止めた。
デイダラの後ろにいた男が逃げようと動き出したからだ。

「待てよ……約束の金出せ」

要求するとその男は顔を青ざめさせて言う。

「滝隠れ近くの俺達のアジトにある!有り金全部やる!だ、だから、命だけは、」

何かゴチャゴチャと喋っているが俺は知らない。
しかしただ一つ、礼を言ってやる。

「俺の相方重かったろ。身体、支えててくれてサンキューな」

ただし棒読み、ひたすら無感情に。
チャクラ糸でクナイを操り、男の心臓に深々とめり込ませた。すぐにソイツは絶命し、辺りは静かになった。



デイダラに近寄ると奴等の臭いがした。精液の、独特なあの臭い。

「…知らなかった。俺は何も疑いもせずお前の名前をコイツ等に出したんだ。本当だ」

弁解しながらその肩を掴むと、ビクッとデイダラの身体が反応した。拒絶されたようなかんじだった。ずっと震えている。

「もう大丈夫だ。頼む、泣くな…。俺はお前を売ったりしない、」

「な?」と説得させようとすればデイダラは無理に笑った。


「オイラ…平気だぜ、うん」


俺は凄く悲しくなり、その身体をきつく抱き寄せた。まだ震えが止まらないようだった。

「ゴメンな、デイダラ。ゴメンな…」

弱った身体を、きつくきつく抱き締めた。「いてぇし」と呟いてデイダラはまた泣いた。

ゴメンな。
もう二度とこんな目には遇わせない。

俺はしばらくその体勢のままでいることにした。


───────────────


俺はまたリーダーに要求した。

「傀儡用に材料がほしいんだが」

リーダーは「何故この会話をまたしなくてはならないんだ」と疲れている。
費用は自分で稼げ。
リーダーは再びそれを言った。しかし俺は金を求めているのではないのだ。

「"材料"そのものがほしいんだよ」

俺がそう言った途端リーダーが消えた。というか逃げた。
リーダーのくせに、なぁ。

金を稼ぐのはやめておく。
また間違いが起こると面倒だしそれに、デイダラの泣きっ面も見飽きた。

あまりに材料費が無くなり困ってしまった、というような場面が来れば話は別だ。いざとなれば角都と戦争をして賞金首をひったくってやる。

しかし今しばらくは部屋にこもって毒薬でもゆっくり作ることにしよう。うるさい相方が部屋に押し入ってきた時にでも実験台にしてやる。

そうだな…、涙が枯れる薬でも開発するかな。
アイツがずっと笑っていられるように。


悪ぃデイダラ。金とお前を天秤にかけるとなると…微妙だ。

でもお前は大切なんだ。
本当に、そう思ったよ。
矛盾か?




fin.


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