夢見ぬ君の産声
「お前の傍にいたい」
「私もよ」
微笑めば、彼は嬉しそうに目を細めた。手を私の頬に当てて、優しく撫でる。けれどもすぐに彼の目は慈しむようなそれから、懇願するような切ないような悲愴なものに変わった。
「だが、私が傍にいることによってお前はこの世界から嫌われる」
「人に?」
「人にも、ポケモンにも」
お前が悲しい思いをするのは耐えられない。そう呟いて、彼は私の視線から逃げるようにして俯いた。ゆらりと影が揺れる。
悪夢。ナイトメア。彼は他にそれを見せる。それも抗いようもなく。眠りは動物にとって生きるためにとても大事なものだから、それを妨げられるということは、イコール死だ。彼は今まで誰にも寄り付かれず、誰も寄せ付けなかった。
でも私は寄り付き、彼もそれを甘んじた。
そんなこと気にしなくてもいいのに。ふふ、と笑えば戸惑ったような視線。
「何故、笑う」
「ごめんなさい。だって、」
もう死んでいたらそんなの関係ないもの。