warning!!

流血ネタ注意
暴力&グロ表現があります。

阿部→栄口を殺します。























「くっ...来るなぁぁ!!!!!!」


暗い路地裏で二つのテンポの早い足音と、悲鳴に近い叫び声。
光はなく、建物の間から見える小さなネオンの光が唯一の生きる希望。しかし、希望は遠かった。

前で走る少年の前には、延々と続く闇。


「なんでっ...うああああぁ!!!」

厚いコンクリートに響く自分の叫び声に、更に恐怖が増す。

少年の後ろには、同じくらいの体格の、見覚えのある、はずの。








「ひっ...はっ!!!...阿部っ...?!!!」



少年は走りながら、いつも見ている同級生の顔を確認した。

そう、阿部だった。
片手にナイフを持っていた。





「っな...んでぇ!!!!」


「......」


無言の圧迫感。ただただ闇の路地裏を走るだけだった。








すると、数十メートル先に光が見えた。





「(助かるっ...!!)」





と、少年が思ったのはつかの間だった。



右腕を掴む何かに、驚き振り向くと、阿部がいた。そして、阿部の手が、がっしりと少年の腕を掴んでいた。

進むことが出来なくなった。


「ひっ!!!!!!」







「つーかまーえた.......」


阿部の鋭い目が少年を見定めた。
そして、薄気味悪く笑みを浮かべたと思ったら、右側にそびえ立つコンクリートに追い込まれた。

背中には壁、前には阿部。
一瞬で察知した、逃げられないと。



「った...頼む!!!たっ助けてよおぉ!!!!」

必死に命を乞おう。が、阿部は無情にも笑みを浮かべたままに、少年に語りかけた。




「大丈夫だって......














痛みは一瞬で済ませるようにしてやるからさぁ......!!!!」





酷く。
肉に刃物が突き刺さる音に、肉から刃物が抜ける音。何回ものリピート。止まらない。

一分にも及んで、阿部の動きは止まった。顔や服には血飛沫。
ナイフを持つ手からは、相手の血が滴り落ちる。



「...はっ...は...」

阿部の息は荒く、目の前に息もなく立つ少年の屍を見つめた。
そして、屍は地面に堕ちた。



屍の顔にはネオンの光が照らされていた。

顔。血に塗れた顔。
誰でもない、昔からの知った顔、





栄口だった。









ふと、阿部は思った。あれ?違う。と。

真実、阿部は今の今まで、違う人物と思って追ってきたからである。



真っ暗闇の中でその人物の体格だけを見て追っていた。



しかし、それはあまりにも曖昧な簡単すぎた考えだった。
違っていた、まさかの間違い。

別人を殺してしまった。





無残に自分の手で殺してしまった栄口の目には、空虚と絶望が映っていた。そして、赤い涙。









あああああああああ!!!!!!!!!!

間違った、間違った








路地裏には、叫びに近い絶叫と漆黒の闇だけが残っていた。




血溜まりに残る栄口の表情は、歪んでいた。




end






――――キリトリ――――


阿部が間違って栄口を
殺してしまいました。
間違った殺人。

阿部が誰と栄口を間違
ったかは、誰も知らな
い話である。






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