(!)海(?←)平→佐。
   もしも平介がホモでドMだったらの話。悲恋系?







俺が男が好きだなんて、誰も知らない話。
それも俺は今、好きな人がいる。
それもそれも今、目の前にいる。

「平介ーまたクッキー焼いてきてよ!」

佐藤は太陽のような笑顔を向けて俺に言った。

「うん、いいよ。」

と、答えつつ、俺は佐藤をやらしい目で見ていたりする。
ああ、あの手で俺の首を絞めながら罵ってくれたりしないかなー…なんて、とても酷い願望で妄想だ。

廊下を歩きながら、通り抜けていく生徒たちを品定め。
あいつは優しそうだな、あいつは酷くしてくれそう…そういう目で歩いていた。

「あ、先輩…」

目の前で立つ生徒は、あの一年生くんだった。

「…やあ。」

いつもの挨拶。彼は不機嫌そうに俺を睨んだ。
その本気じゃない睨みにも少しゾクリとした。飢えすぎている。

「…それ、やめたほうがいいですよ。」

突然、一年生くんはそう言った。

「…何が?」

「その目、ですよ。」

目?

「いつも、他の生徒を何か違うもので見ているような目。」

「…」

「俺は知ってますよ、先輩の目を。」

末恐ろしい子だなって思った。
俺はそういう素振りを見せないようにしていたのになぁ。
うーん…さすが一年生くん。

でも、君は何でそんなに俺を見ているの?



「佐藤が好きねぇ…」

「まあね。」

鈴木はどこか上の空で俺の言葉を聴いているよう。
まあ、突然のこんな告白だしね。

「…あいつのどこがいいわけ?」

「うーん…」

時々思いつめた時に見える元キョーケンの表情とか、あの微笑から罵られたいとか。
そんなこと言えるはずもない。

「あの笑顔、かな?」

「曖昧だな。」

鈴木は小さく笑うと、俺を見た。

「別に、いいんじゃね?」

「鈴木って、意外に何でも受け入れちゃうよね、怖。」

「まあ、まったく驚いてないと言えば嘘だがな。」

その時の鈴木の表情はただの友としての優しい顔だったなんて本人に言えない。





数日後、俺は佐藤に彼女が出来たという話を聞いた。
特に悲しいとかそういう感情はない。いつものことだ。
昔から何人か好きになった人がいたが、ほとんど実らず枯れてばかりだ。

「先輩、今日はまたひどい顔ですね。」

「…」

一年生くんは、ホントタイミングが悪いね。

「いつもより更に気に触ります。」

ゾクリ。…ん?なんだ今の。
一年生くんは少し眉を下げて、俺をまっすぐ見た。

「キミはホント…」

タイミング悪い。



end



(好きな某BLマンガを読んで、内容に感化されて書いてみた。気分によっては続き書くかも。)






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