(!)「輪るピングラム」パロ。シリアス甘。
   パロ作品を知らない方にはわかりにくい作品となってます。








俺は誓った。
平介の為なら何でもすると。
平介を失うくらいなら、この世なんか滅んでしまえばいい。

俺は願った。
どうか今の幸せが長く続くように。
平介と佐藤といつまでも一緒にいれるように。



でも神様は残酷だった。
俺たちの前から突如平介を奪ったのだ。



俺は願った。
平介を奪うなら俺の命を差し出すと。
だから、俺から平介を奪わないでと。

俺は誓った。
もっと強くなりたい。
平介と佐藤が守れるように強くなりたい。



瞬間、俺たちの目の前に真っ赤な林檎が現われた。
その林檎はとても見たことないほどに真っ赤に熟れていて、まるで生きているようにそこに存在していた。
その林檎は俺たちの思いを受け取ったように二つに割れた。
そして、その片方ずつを俺たちは手にとって、齧った。
自分たちの誓い、願いを込めて。




「佐藤、鈴木、何してるの?」


上から降ってきた声に顔をあげると、平介が不思議そうに見つめていた。


「何でもねえよ。」

「そう?それにしては、何で泣いているの?」


横を見れば、佐藤の頬に一筋の涙が流れていた。


「え・・・あ・・・」


佐藤は自分でも気づいていなかったようで、少し笑いながら袖で涙を拭っていた。


「ちょ、ちょっと・・・目にゴミが入ったみたいっ」

「大丈夫?」

「う、うん!心配ありがとう。」

「少し驚いたけど、佐藤が大丈夫って言うなら・・・」


そう言うと、平介は静かに自分の席に着いた。


「佐藤・・・」

「ご、ごめん・・・」

「平介の前であんな顔すんな。」

「・・・ごめん。」


腹が立った。
今、平介は生きている。俺たちの目の前で日常を送っている。
それでいい、平介が生きていれば俺たちは何も望まない。

佐藤はいつも挙動不審だ。
いつも俯き気味で、よく泣く。
やめてくれ。

お前の行動はいつも俺をいらつかせて、俺にとてつもない罪悪感を覚えさせる。

まるで、あの時の俺たちの行動が、平介を生き返らしたことが間違いだったかのように感じるのだ。
確かにそうだ、死んだ人間を生き返らせることは人間、動物、生物、そういう中の輪を逸脱した行動だ。間違いなのかもしれない。でも、俺は。


『ピングドラムを探せ。』


突如平介の口から発せられた『ピングドラム』という言葉。


『俺様はお前たちの願いを叶えてやったんだ。』


平介なのに平介じゃない平介。
その瞬間、改めて理解させられる、平介は生かされているのだということを。


『こいつを助けたいのなら、ピングドラムを探せ。』

「ピング、ドラム・・・って何だ。」

『さあな。』

「何だよそれ!それじゃあ、探しようがないだろ!」

『しかし、お前たちは探せるだろ?』


平介の姿を借りたそいつは、平介の心臓部に人差し指を立てるとニヤリと笑った。


『俺はこいつを生かしてやってる。』


そう、平介はそいつに生かされている。


『さぁ、ピングドラムを探せ。』




俺は、嬉々した。
俺は、絶望した。




end




(続・・・く?)







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