(!)甘い系で佐平。佐→平な感じ?





「へいすけー!好きだよ!」

「そうかい、そうかい。」


俺が「好きだ」と抱きつけば、平介は慣れたような顔で俺の頭を撫でた。
こんな毎回同じやり取りを何回繰り返したら、君に俺のこの気持ちが伝わるのだろう。



平介が好き。
あのやわらかな色の髪も、いつも眠たそうな目も、声も顔も、性格も、全てが好きだ。
いつ好きになったなんて覚えてない。気がついたら、好きだった。


「佐藤くんや、毎回抱きつくのやめてはくれないだろうか。」

「えーいいじゃん!俺らの仲でしょ?」

「じゃあ、鈴木にもすればいいじゃん。」

「鈴木にしたら、殺されちゃうじゃん!」


それは確かに、と苦笑いを浮かべた。
俺のこの行動に何の不信感も感じていない平介に対して、俺は毎回とても寂しくなる。
友達としてのスキンシップと思われるより、こいつは何で俺にこんなことを・・・と不信感を覚えてもらうほうが、どんな感情を抱いていようが、俺を意識してほしいから。

苦しいな。


「平介、さっきじじ先生が呼んでたぞ。」

「げ、やば、早く帰ろう!」

「でも、じじ先生がお前の鞄を人質に持っていったぞ。」

「え、なんでじじ先生、俺の鞄持ってんの・・・」

「俺が渡したから。」

「殿ォーーーー!」


相変わらずの世界。
平介がいて、鈴木がいて、俺がいて。何変らない世界。


「じゃあ・・・仕方ないか・・・じじ先生んとこ行ってくるから、二人とも先に帰っておいて。」

「ああ、じゃあな。」

「がんばれ〜」


そう言って平介の背中に手を振った。
ああ、やっぱ平介が好きだなぁ・・・とその背中を見る。


「あいつも相当なバカだけど・・・佐藤、お前も相当のバカだな。」

「え?」

「ほんと・・・あいつのどこがいいのかさっぱりだ。」

「・・・」


鈴木は知っていたのか、俺が平介が好きだってこと。


「まあ、お前の平介に向ける目は普通じゃないしな。」


!?心を読まれた・・・!
さすが、鈴木って感じだな・・・。


「お前が平介のことをどう思おうが別に構わないけど、俺に迷惑かかるような面倒なことは起こすなよ。」

「りょ、了解。」


鈴木に目配せすると、にやりと黒い笑みを浮かべて昇降口へ歩いていった。







「佐藤、これ前に言ってたクッキー。」


休み時間に平介は静かに俺に小さな紙袋を渡してきた。


「お!これ、前に頼んでいたやつ?!本当に作ってくれたんだ!ありがとう!」

「っ・・・うん、いいよ。」


?一瞬、平介の表情が歪んだのを見た。それに少し顔が赤い。


「ま、また、感想でも言ってほしいな・・・。」

「うん!つかあとで食べるね!」

「うん。」


そう言って、平介は鈴木の元へもうひとつの紙袋を渡しに行ってしまった。
ああ・・・やっぱり好きなんだ。と、平介の背中に小さく呟いた。


「平介もさ、さっさと告ればいいのに。」

「無理に決まってるでしょう・・・引かれて終わりだよ・・・。」

「そんなの言ってみなくちゃわかんねぇだろ。」

「・・・今はまだ・・・」


クシャ・・・と、クッキーの紙袋を少し強く握った。
鈴木はそんな平介の姿に溜息をついた。
そして、誰かと話している平介の後ろのバカを見つめて小さく呟く。


「ホント、お前らバカだよ・・・。」



end




(本当は両思いなのに。)







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