(!)佐+海→平でほろ甘
「あ、一年生君!」
靴箱で呼び止められて振り向くと、そこには笑顔の佐藤先輩がいた。
「…どうも。」
いつもは他の二人が後ろにいるはずなのに今は佐藤先輩一人。
ニコニコと笑ったまま僕に近づくと、「おはよう!」と言われたので「おはようございます…」と愛想なく呟くように言った。それでも尚先輩はニコニコしていた。
「一年生君っていつもこんな時間なの?」
「いえ、今日は少し寝坊してしまって…」
「へぇ、一年生君も寝坊とかするんだね!」
ムカッ。
僕の何を知っているんだ、この人は。
「…そういえば、他の先輩方は?一緒じゃないんですか?」
「えっとね、鈴木はインフルで、平介はいつも通りの遅刻だと思う。」
「やっぱり先輩は学校に対する意欲の方も軽いようですね…」
呆れたものだ。
やはり先輩は僕がどれだけ言ったところで何か変化しようとはしないようだ。イライラする。こんなに全てに軽くて意欲のかけらすらない人初めて見た。
「一年生君って…平介のこと、好きだよね…」
「…は?」
今なんと?どういうことだ?
「だってさ、好きじゃなかったらそんなに見てないでしょ?」
「…」
目を見開いて先輩を見つめる。
にこりと微笑まれると体の熱が上がっていくのを感じた。
何だこの気持ちは。まるで的を得たような気持ちの良い気持ち。しかし、とても恥ずかしくて…。
「ぼ、僕は…」
「あれ、佐藤じゃん。」
言葉に詰まっていると、ゆったりとした口調が耳に響いた。
佐藤先輩の後ろを覗くように見ると、締まりのない顔の平介先輩だった。
「あれ?平介、今日は遅刻じゃないんだね!」
「んーちょっと危なかったかな…て、一年生の人。」
先輩は俺を見つけると少し焦ったような表情を浮かべた。
「なんで佐藤といんの?」
「俺が呼び止めたの。」
「めっずらしい組み合わせ。」
またイライラした。
すると先輩の視線が僕に向けられていた。
また体が熱くなった。
「どうしたの、一年生君?」
「…何もないです。」
僕の反応に佐藤先輩は大きくため息をつかれると、先輩は平介の方を向いて僕を指差して口を開いた。
「一年生君ね、平介のこと好きみたいだよ。」
「「は?」」
佐藤先輩が何を言い出すかと思いきや、予想反するものだった。平介先輩も驚いた様子で半笑いの顔で固まっていた。
佐藤先輩はその二人の様子を面白がるように笑うと、教室へ向かっていった。
佐藤は少し歩いてから後ろを振り向いた。
平介と海藤は真っ赤な顔して互いに視線を下ろしていた。全く呆れた二人だ。きっと互いに両思いなんだろうな。ま、思いが通じればいいね。
チャイムは静かに鳴り響き、教室前に着いたが後ろに平介の姿は無かった。
end
佐藤は実は平介のことが好きだったり。
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