誰もいない、何もいない廃墟。

夜の廃墟というのは予想以上の怖さがあった。俺は正直、ホラー系は無理だ。少し前に平介と佐藤で興味で見に行ったホラー映画は最悪だった。歩くたびに地面に崩れた壁やら天井やらの欠片が異様な音をたてる。

(まじで、俺…何やってんだろ…)

歩いても歩いても闇。
しかし、歩いた先に白い扉があった。

(この先に、いるのか…)

今までの自分の行動に気持ち悪さを抱えながら、鈴木はその扉の前で問答をした。そして、勇気を出して、その扉のノブに手を掛けた。





何もない闇の中、歩き続けると月の光が見えた。俺は安堵して、その光を目指して歩いた。光は徐々に大きくなって、やっとのことで光の場所まできた。光はガラスの無くなった窓から差していたみたいだった。しかし、その月の光は異様に眩しかった…―





「鈴木、」





月光が差す片隅に、月の色と同じ髪色をした奴がいた。






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