「友子ちゃん、trick or treat。」


「はい、お菓子。」


そう言って、手作りクッキーを渡すと長谷は小さく微笑んだ。

クッキーを1つ手に取るとパクっと食べた。


「美味しい。」


「それはよかった。」


長谷に喜んで貰えるだけで私は嬉しい気持ちになる。


「はい、お返し。」


「ありがとう。」


小さな包みに入っていたのはマシュマロだった。あーすごく長谷らしい、と思った。


「これ、長谷の手作り?」


「うん、手作り。」


「マシュマロを手作りするなんて凄いね。私なら無理。」


「簡単だよ、簡単。」


「うっそだー!」


と、長谷と廊下でハロウィン談笑していると。


「あ、長谷さん。谷村さん。」


振り向くと、ティッシュの人こと海藤くんが現れた。


「あ、海藤くん。」


「海藤くん、こんにちは。」


「こんにちは。」


ティッシュ事件以来、海藤くんとは仲良くなり、今となっては会うたびに声を掛け合う仲になっていた。


「何をしているんだい?」


「海藤くん。」


「何、長谷さん。」


長谷はまっすぐ海藤を見つめると、右手を差し出した。


「海藤くん、trick or treat。」


海藤くんも私もぽかーんとしてしまった。そして、一拍間を置いてから、海藤くんは慌て始めた。


「は、は、長谷さん!え、ええ!trick?treat?ええ?」


「海藤くん慌てすぎ!」


私がツッコむと海藤くんは息を大きく吐いて、ポケットを探り始めた。


「…あ、えっと…これ、二人に…」


「え、これ…」


海藤くんの手には、かわいい包装に包まれたキャンディー。


「ありがとう、海藤くん。」


「い、いえ…」


「そうだ!今日ハロウィンだし、あのケーキ屋さんに行こうよ!3人で!」


「俺も…?」


「ええ、いい考えね。海藤くんも一緒に行きましょう。」


「う、んっ」


海藤くんは嬉しそうに笑った。
放課後が楽しみだ。







|
戻る


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -