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高校生になって、まあまあ友達もいて、まあまあ楽しい学校生活を送っている。

ただ、俺は、男に触れない身体になっていた。

よく友達がふざけて、肩に腕を回してくる時なんか、嫌悪感と共に3年前の事を思い出してしまう。友達の腕を振り払いたい、けど、友達に知られたくない。だから、できるだけ自然に、震える声を抑えながら「いてぇよっ」と笑いながら腕をどける。いつもそうやって過ごしてきた。

そうして、俺は知らなかった、そんな時にいつも、あいつが俺を見ていたなんて。


「鈴木、一緒に帰ろうぜ!」


そう話しかけてきたのは、佐藤だった。こいつは他の奴らと同じ、学校で楽しく話すダチの一人だった。


「佐藤、他の連中は?」

「みんな俺を置いて帰っちまったんだよ!酷くね?」

「あ、ああ。」


俺と佐藤の2人で帰るなんて珍しいなと思った。いつもは他の奴らもいて賑やかに帰っていた。でも、今日は2人。


「鈴木って一人暮らし?」

「実家暮らし。」

「俺も。」

「…」


…そして、とても気まずい。さっきから会話が続かなかった。どうしたものか。


「鈴木、」

「何だ。」

「鈴木ん家、行ってみたい。」


俺は驚きの眼差しで佐藤を見た。
こいつは今、何と言った…。


「え…」

「だから、鈴木の家に行きたいです。」


佐藤はにこにこと俺に問うてきた。その問いは俺の身体に寒気を起こす。あの記憶が脳内全てに伝達する。

嫌だ、来ないでほしい。


「い、今は…部屋汚ねぇから無理。」

「俺は別に気にしないよ。寧ろ、そのままの方が…」

「でも、親がいると思うし…」

「だから、俺は気にしないよ?」

「部屋汚いし、何もないんだぜっ!」

「じゃあ勉強しよう!」

「………」


何なのだ…こいつ。
嫌だ来るなオーラを全開にしてこの目の前のバカに送ってるのに、全く効いている様子にない。


「……じゃあ、少しなら…」

「やった!サンキュー、鈴木!お邪魔するな!」


俺の気なんか全く察してる様子になく、嬉しそうに笑う佐藤にドキリとした。しかし、そのあとすぐに吐き気がした。

肩を落として歩く横で佐藤は鋭い眼差しで俺を見ていたなんて気付かなかった。






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