「小川さぁ〜ん!細いですねぇ!」


と、楽しげな声の主は、俺の肩に腕を乗せながら体を触ってくる。なんだこの、たちの悪そうな酔っぱらい。

最終的にカクテルを2杯、ワイン5杯を2人で飲み、気がつけば海藤くんは千鳥足。


「海藤くん、ちゃんと歩いてよ…」

「へえええ?!聞こえませ〜んっ」


つか、俺よりお酒ダメって…それも何このいつもと違うキャラ…。
隣で「ふひひひっ」と楽しげに笑ってる海藤くん。…まあ、なんかかわいいちゃかわいいかな。

車道を歩くとタクシーを見つけ、手を上げて止める。


「海藤くん、家どこ?」

「…もう飲めませんってばぁ〜」


…これは、だめだ。
海藤くんは完全に酔っぱらってる。
俺は仕方なく、自分の住所を運転手に告げて、車が家に向ける。



2LDKのマンション。
特に家具もたくさん置いているわけでもなく、独身男にピッタリな部屋。

今にも寝てしまいそうな海藤くんをなんとかして運びながら、寝台に連れていく。


「小川さぁん……水…」

「はい、ちゃんと起きて飲まないと…」


すると、海藤くんは仰向きのまま俺の方に両手を上げて「だっこ…」と、消えかかりそうな声で俺に言う。


「…っ」


いつもの真面目でかっこいい海藤くんとは違う、色気が漏れたかわいい海藤くん。


「っは、はい…起きて…」


と、ドキドキしながら海藤くんの両手を掴もうとした時。

グッと、強い引力が俺の体を前に倒した。
そして、気がつくと目の前には天井と、海藤くんの顔が。






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