『なんてかっこいい子なんだろう。』
それが俺が海藤くんに感じた第一印象だった。
海藤くんは、俺がパティシエとして働いているレストランに海藤くんがアルバイトとしてやってきた。
「今日からアルバイトで入る海藤くんだ。みんな色々と助けてやってくれ。」
「海藤です、よろしくお願いします。」
店長の紹介に対して、丁寧な挨拶が印象的な彼に俺はドキリとした。
少し癖っ毛な髪に、切れ長なつり目、真っ直ぐに伸びた背筋、制服をきっちり着こなす長身、すべてがかっこよかった。
女性スタッフたちはキャーキャーと黄色の声をあげて海藤くんを見つめていた。
「海藤くん、彼はパティシエ長の小川さんだ。ここで長いこと働いてくれてる人だから、デザートのことから接客まで教えて貰うといい。」
店長に紹介されて、海藤くん方を向き「よろしく。」と微笑む、すると彼は「よろしくお願いします、小川さん。」と頭を下げて答えてくれた。
目の前で見ると更にかっこよかった。
軽く笑った顔に鼓動が早まる。その鼓動の早さが伝わらないように平常心を装う。
「で、こちらが料理長の……」
次に料理長の紹介に移ると海藤くんは目線を外す。
少し寂しい気持ちになり、その気持ちを誤魔化すように自分の制服を手で直す。
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