(!)平介と長谷さんが付き合ってる設定のNL話。
   ひな祭り話。NL甘甘話が苦手な方は回れ右!









桜はまだ咲かない寒い3月3日。


「長谷さん。」


付き合ってまだ月日の短い私たちは、さんと先輩付けで呼び合っている。それも、苗字。


「小川先輩。」


公園のベンチでなんとなく座ってみて、ただ何もせずにボーと座るだけの時。
名前を呼ばれたので呼び返すと、彼は優しく微笑んだ。

彼は私の頬を優しく撫でて、髪に触れる。


「長谷さんの髪は、とても綺麗でやわらかいね。」


「そうですか?」


「うん、とても好きだよ、今の長谷さん。」


すると、自然に体温が上がるのがわかっていく。
同じ空気をかもしだす彼に惹かれた私の目の前には、その惹かれた彼がいる。
まるで、夢のような現実がここにある。

周りも一瞥する私たちの甘い雰囲気には、私自身も酔っていく。


「小川先輩の髪をやわらかいですよね。」


「そう?」


「はい、薄い髪色に髪に、手に吸い付く髪質…好きです。」


「ありがと。」


そして、仄かに香るバニラエッセンスの香り。
こんどは何のお菓子を作ったの?


「まだ、冷えますね。」


「そうだね…冬はまだ終わらないね…」


「先輩、風邪には気をつけてくださいね。」


「ありがとう。」


微笑む貴方。


「そうだ、今日はひな祭りだから何かお菓子を作ろうって思ってたんだ。」


「そうなんですか。」


「今から作ろうかなって思ってたんだけど、長谷さん、ウチくる?」


「え。」


胸おどる私。


「ひな祭りなんだから、女の子の長谷さんにお祝いしなくちゃ…。
 何のお菓子がいい?ケーキ?クッキー?それとも、和菓子かな?」


「何でもいいんですか?」


「うん、大体のお菓子は作れるから。」


友子ちゃんが、お菓子の作れる男性なんて羨ましい、とぼやいていた。


「じゃあ…ケーキ、でしょうか…」


「ケーキね、わかった。」


と、その時。


「あ。」


先輩の頭上から、ピンク色の花びらが降ってきた。
そして、その花びらは先輩の髪の毛に絡みついた。

私は無意識に手を伸ばして、先輩の髪に指をすくわせる。
先輩は驚いて目を見開ける。
花びらを指で掴み、先輩の目の前に差し出す。


「先輩の髪に…」


すると、先輩は私を抱き寄せた。


「っ!…」


私は今の状況を飲み込めずに、少しの間唖然とした。

先輩の抱くの力が少し強くなる。
私は胸の苦しさを覚える、けど、それは嫌なものではなかった。


「長谷さん…好きだよ。」


貴方の熱がこんなにも近くで感じられる。
寒さは遠の昔に忘れていた。


「…私もです…先輩…」


花びらは私たちの間をすり抜けて、風とともに髪を靡かせる。




end






(長谷さんって美人だよねー)

(でも実は、友子ちゃんのほうが好き←)









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