「暑い…」


「そうだね…」


瞬間、平介の頬に海藤の右手が飛んできた。





今日ハ、アナタノ日





「いたっ」

鈍い音のあと、平介の頬は薄ら赤くなっており、海藤は呆れ溜め息を漏らしながら服の胸ぐら部分をパタパタとさせた。

平介は痛みに涙を浮かべながら海藤を見つめた。


「海藤くん、痛い…」


「自業自得です。こんな暑い日に抱きついてくるほうが悪いですっ。」


「だって、折角の夏休みに二人きりなんだよ?海藤くんは、嬉しくないの?」


すると、プイッと平介と逆を向き拗ねてしまった。
平介は海藤のいきなりの反応に意味が理解できない様子。


「(えっ!!…俺、何かいけないこと言ったかな…えぇ…)」


平介は海藤から体を離れようとした。すると、「ギュ…」。


「っ!?」


「…な、何で…」


振り向くと、顔を真っ赤にさせた海藤が下を向きながら抱きついてきた。
背中に抱きつかれたので、顔が赤くなっていることしか見えない。くそ。
しかし、背中に伝わる夏の暑さだけでない異常な体温の高さ。そして、海藤の鼓動の早さ。

無言の海藤に胸を高まらせる平介。
赤面の2人の額には温い汗が流れた。
沈黙を破ったのは、海藤だった。


「先輩…暑いです…」


「そうだねー…じゃあ離れる?」


「それは…イヤ、です…。」


「何で?」


平介の背中は2人の汗で湿ってきた。
そんな異様な空間が平介には香しい麻薬のように感じられた。

長い時間、空間に酔いしれていると。


「好き、なんです…」


空耳だったんではないか?というような小さな声が聞こえた気がした。
「へ?」と、あっけらかんな声を発してしまった。


「離れ、ないでっ…」


嗚呼、何でこんな時に背中に抱きつくかな。
顔が見えない、可愛い彼女?の奇麗な顔が。

それに、今日は珍しいデレの日なのかな?


「離れないよ…海藤くん…」


「う、ん…」


「俺も好きだから…さ…」


背中に軽く置かれていた右手を掴むと、素早く、海藤の正面を捉えた。


「あれ…なんて、可愛い顔してくれてるの?海藤くん。」


暑さに顔を赤くさせて少し汗ばんでいる、背中にずっと顔を埋めていたから息が少し荒い。
そして、恥ずかしさからか涙が薄ら浮かんでいる。なんて、可愛いんだろう。
顔を隠そうとする海藤の左手もまた、掴んだ。
そして、そのまま生温い床に押し倒した。


「あっつ…」と、照れながら呟く海藤。
いつもの拒絶の言葉を言ってこない。

あれ?今日はOKってこと?


「海藤くん、襲っていい?」


平介の真剣な眼差しが海藤を捕らえた。
少しうろたえる海藤だが、顔を背けて呟いた。


「聞かないで、くださいっ…」




そのあとは、蝉の鳴き声に苛立ちを覚えながら、海藤の鳴き声に興奮が冷め止まなかった、なんて平介は心の中で呟いたそうな。





end(↓おまけ)








翌日。


「ねぇ鈴木。」

「何?数学のノートなら、もう貸さないからな。」

「えっ違うよ?数学なら佐藤に借りた。」

「(平介…〔怒〕)」

「昨日、デレの日だったんだ。」

「は?(デレ?)」

「海藤くんがねー、すっごく甘えてきちゃってさぁー、夏の暑さが吹っ飛んじゃったよー…暑さの中、朦朧と鳴いてイ……」


ガラッ!

「先輩ぃぃぃいいいいい!!!!!!」


「あら、いたの。」

「いたのじゃありません!なっ、何!!鈴木先輩に言ってるんですか!!」

「へっ?昨日の海藤くんのあられもない姿を…」

「ああぁぁーーーー!!!///」

バシッ!!

「!!いたた…」

「もっ…先輩なんかっ、キライですっ!!」

タタタタタタ……。

「あっ…待…」

「怒らせたな。」

「俺って、気遣いが出来ないヤツだよ…どうせ…」

「平介うっぜー」

「へーすけー!!数学のノート返してって……どうしたの?;」

「あっ、佐藤。コイツのことは少しほっといてやれ。」

「わかった…;」



end






――――キリトリ――――

5000hit記念作品★
匿名様リク
平海/甘甘


なんだこれ(笑)
最近平介のキャラ崩壊
気味なんですけどー!

リクエストありがとう
ございました!!
これからもよろしくお
ねがいします^0^





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