貴方がいた世界は

あんなにも輝いていた。








フォーカスを合わせて







寒空に光る星を探して外を歩いてみた。
息を吐くと、街頭に照らされた真っ白な息が空に消えた。

周りには緑が生い茂り、自分以外に誰もいない。
真横に流れた川のせせらぎに心を躍らせてみた。


そして、静かに夜空を見つめた。


真っ暗な夜空の中に、ひとつの無機物な光の点滅を見た。












「あっくん、今日出発するから。」


へーすけが会社の業務命令で、外国の支社に転勤になった。

鈴木さんは「お前なんかが外国なんかに転勤は無理だ。」なんて言っていたそうだ。

しかし、へーすけは「鈴木ったら昔から酷いっ」なんて笑っていた。





飛行機の時間はちょうど、会社の面接日で、どう時間を練っても行けない。


「あっくん、無理しなくていいよ。」


へーすけの優しい、つもりの言葉は、俺にとってとても悲しい言葉だった。



だって、へーすけが帰ってくるのはいつになるかわからない。

もしかすると、10年近くも帰って来ないかもしれない。

外国で、好きな彼女ができるかも………。



不安との葛藤は、ずっと続いていた。








そして、今夜、へーすけが日本をたつ。

俺は、黒スーツとベージュのコートを身に纏い、帰り道の河川敷を歩く。
片手には、いろんな資料の入った鞄を持つ。





静かに河川敷を歩いていると、とある無機質な機械音が耳についた。

振り向くと、遠くの夜空に、ひとつの飛行機が。


携帯電話を取り出して、ディスプレイに映る時間に目をやる。





時間は、へーすけが乗った飛行機の出発時間の数後だった。





「(…へーすけ…)」


本当にへーすけの乗った飛行機かはわからないが、祈ってみた。

小さい頃から憧れていたへーすけ。
十歳以上離れた兄のようなへーすけ。


¨大好きなへーすけ¨。





ずっと、言いたかった。

何年もかかった。

ただ、心残りは、目の前に貴方がいないこと。

ずっと、待ってます。



貴方の帰りを。






「……へーすけ、」


息は少し詰まらせて、頬に流れた涙をすくった。






へーすけの乗っているはずの飛行機は、もうすでに反対側の空へ消えていた。


貴方のいる飛行機の最後に、フォーカスを合わせて、見つめる。






end





――――キリトリ――――


年齢操作はいいね。

あっくんの一途恋。
小さいころからの純粋
な片思い話。

平介がまさかの外国転
勤wwwww



数年後みたく、続編で
も書こうかな??w



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