(!)甘甘な平海












ギュッと、背中から抱き寄せられた。
バランスを崩して、彼の胸に自分の身体を全て預ける状態になってる。

熱い息が耳にかかる。





なんて、恥ずかしい夢を見た。





honeyed HE





先輩はとても甘い人間だ。

お菓子作りが好きで、のんびりで、ルーズで、何を考えているかわからない。



「海藤くん、コレ食べる?」


海藤の部屋の机を越しにポッキーを持った手が伸びてきた。


「いりません。そんなことより、早く課題終わらせましょうよ。」


ポッキーにも目をくれず、目線の下にある数学の教科書を見つめて言った。

片手のにポッキーを持ったまま放置された平介は、シュンっとしょげてしまった。


「海藤くん酷いわねぇ〜鈴木に似てきたんじゃない?」


「似てませんっ!!どうでもいいので早く数学やっちゃいましょうよ!!雑談はそのあとです。」


「は〜い。」


そして渋々、青いシャーペンを握り、ノートにペンを走らせた。







時間が少し経った時。
あることが自分の意思を支配した。
それは、前にいる先輩のことだ。

先輩がペンを走らせ、本のページを捲る度に、甘いお菓子のような匂いがする。

パンケーキをバターで焼いた時の甘い匂い。ハチミツをかけて食べたときのような快楽が身体を痺れさせる。

(いい匂いだな…)

なんて思いながら、平介をチラチラと見ながらペンを走らせていると。



「海藤くん、なーに?」


バチッと視線が絡んだ。
下を向きながら、目線は海藤を見つめていた。


「っい、いや…何でもない、です…//」


「まさか、見とれてた?」


「っ!!?違うって言ってるじゃないですかっ//……っ」


反論をしようと平介の方を向くと、目と鼻の先に平介の顔があった。


「見とれてたんでしょ…?」


間近で甘いお菓子の匂いが海藤の身体全体を支配した。


「っ…ち、近すぎ…離れ…//」


「いやだ…」


ポッキーを持っていた手が海藤の頬に触れた。


「…海藤くん、そっち行っていい…?」


甘い声は甘い匂いと共に、海藤に媚薬のように身体に影響を与えた。

平介は、海藤が有無を言う前に海藤の背後に座った。
そして、静かに背後から海藤の身体を抱いた。


「っせんぱ…」


「暖かいな…海藤くん…」


熱い息が耳にかかった。
身体を抱く腕の力が強まった。

今の状態は、海藤の身体の全てを完全に平介に預けている状態だ。

まるで、あの時の夢と同じような。
正夢。



「先輩…課題……」


「いいじゃないか…今日くらい。」


「…けど、明後日提出…」


「じゃ…離そうか…?」


と、平介は身体を抱く力を弱めて、離れようとした。

すると、瞬間。





ギュッ…
「へ…すけ…」


「っ!?」


服の端の小さな引力と、自分の名を呼ぶ声に振り向いた。

すると、顔を真っ赤に染めて、今にも泣きそうな海藤が上目遣いで平介を見ていた。


「っ…は、離れないで下さい…//」


そんな海藤を見た瞬間、
平介は衝動的に押し倒した。


「っぁ…先輩ぃ…//」


「ちょ…もう一回名前呼んでよ…」


「っやだ…ですっ!!//」


危ない…本当に媚薬みたくっ…!!





「正直になればいいのになぁ…海藤…」



そんな甘い囁きが耳を掠めたと思ったら、唇に何かが当たった。

そして、口の中に何か異物が入った。


「っ??!」

口の中で探ると甘いいちご味が広がってきた。


「キャ…キャンディ…?」


「甘いでしょお?」


優しい目が海藤を見つめていた。
そして、その声はいつもと変わらず甘い声だった。







先輩は甘い人間だ。
本当に甘くて、愛しい。




end





――――キリトリ――――

久しぶりのflat小説☆

匿名様から「平海」と
リクを頂きました(^O^)

やっぱ甘甘は難しい!!






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