春は静かな風の音をたてて



私を置いて行ってしまう。




季節と時の流れ





「あっくん?」





桜が舞う。





「平介、さん...?」


静かな空間の中に、二人は立っていた。
久しぶりに見たあっくんは見違う程大きくなっていた。

「久しぶり。」

「お久しぶりです、平介さん。」
話し方もあの頃より達者になってて、ちゃんと敬語を使うようになってる。
ただ、可愛く頭を「ペコリ」とするところは変わっていなくて笑ってしまった。



《平介さん》



「はは、大きくなったね。もう何年も会ってなかったから、一瞬わからなかったよ。」

「俺もです。」

「あれ?もう高校生だっけ?」

「はい、今日が入学式だったんです。友達と用事あって、先に帰ってきました。」

あっくんの後ろには、二人の男子高校生がいた。
俺と目が合うと、丁寧に挨拶をしてくれた。


「そうなんだ。おめでとう。」

「ありがとうございます。」

「久しぶりに会ったし、入学祝いにケーキでも作るから、また今度家おいでよ。」

「はい、また母と行きますね。」


春は訪れる。



「うん...待ってるよ。」



春は俺に伝えた。



「はい、失礼します。」





季節は過ぎる、と。






「あっくん。」



君のあの笑顔を見たい。



《へーすけ。》





end






――――キリトリ――――


「flat」の初作品
悲恋みたいな感じかな







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