「阿部くん、は、何をお願い、したの…?」


「俺?」





星宿への願い





三橋の手に握られた青色の短冊と油性ペン。
阿部はその手を見つめながら、自分の何も書かれていない短冊に溜息を吐いた。


今日は七月七日。世間でいう、七夕だ。
それは周りも真っ暗になった放課後、監督の突然の発案から始まった。

「みんな!今日は何の日かわかる?」



「今日、ですか?」


第一声はいつもの如く花井からだった。


「えぇ、七月七日は何の日?」


「はいはいっ!!!沖の誕生日!!!」


「えっ?!」


「田島くん、沖くんの誕生日は七月二十日だよ!」


「し、篠岡さん、俺の誕生日知ってるの!」


「まぁね!マネジだから!!」


「「おぉぉ〜」」


みんなが篠岡の記憶力のよさに改めて驚喜の声をあげて、沖は目をキラキラさせながら篠岡を見ている。


「話戻って、今日は何の日でしょうか?」


「えっと…一般としては七夕でしょうか?」


「花井君、正解!そう、今日は七夕よ!!」


監督はどこから取り出したのか、右手にたくさんの短冊に、左手に油性の黒ペンを握っていた。


「それで、今日はそれぞれに一枚短冊にお願いを書いてもらいます!」


「お願い?ですか…」


「そうよ〜!…まあ…あなた達がどんなお願いを書いてくれるのか…楽しみだわ。」


満面の笑みを浮かべながら、背後に黒いオーラが見えたことに、部員たちは何も見なかったことにした。




それから一人ずつ短冊とペンを貰い、ガヤガヤと互いに相談しながら、個人個人の願いを書いていった。
途中で田島が「書けたぁぁぁ!!」と大きな声で叫んで、志賀先生が用意した笹に一番にかけていた。
田島の短冊に「ゲンミツに次のテスト全教科100テン!!」と書かれていることに、みんなが呆れ笑いをしていることに田島は気づかない。そして、志賀先生は「うんうん」と強く縦に首を振っていた。

そして、みんなが徐々に書き終えてきている中、難しい顔で、何も書かれていない短冊に向き合うする人がいた。



「(…何を…)」


ペン回ししながら、短冊に睨めっこをしていると。


「阿部くん、は、何をお願い、したの…?」


振り向くと、いつも通りキョドった三橋がそこにいた。
胸の中心で両手で短冊を大切そうに持って立っていた。


「俺?」


「うん…」


「まだ何も書いてねーんだよ…別に、お願いとか…」


阿部は、三橋から話しかけられたことに少し驚きながら、冷静を装って会話を続けた。


「三橋は?書けたのか?」


「うっ、うん!」


「見せて。」


「ふぇ…そ、それは…」


「他のヤツの見たら、何か願い事出てくるかもしれねーからさー見せて。」


「い、いや…こ、れは…」


「みーはーしー!!なに書いたんだぁー!!」


と、いきなり現われた田島によって、三橋の短冊は簡単に奪われた。


「っと…なになに…」


「っ!!!?た!田島、くっ!!!!」


「¨甲子園出場。阿部君と3年間一緒にいられますように。¨」


「っっ!!??///」


「っ!?」


三橋の顔は林檎のように真っ赤になり、田島に奪われた短冊を奪い返し、そのまま暗闇のグラウンドを走っていってしまった。
田島はそんな三橋を楽しむかのように追いかけていった。

一人置いていかれた阿部は、口をあんぐりと開けて呆然としていた。
そして、後から顔が暑くなってきたのがわかった。


「…///」


「阿部、今チョーきもい顔してるよ?」


「うるせークソレ」


そのあと、みんなの願いが書かれた短冊の中、阿部の短冊には。


『3年間、三橋に尽くす。』




end(↓おまけ)






みんなのお願い事。



三橋『阿部君と3年間一緒にいられますように。』


阿部『3年間、三橋に尽くす。』


沖『甲子園出場できますように。』


栄口『全員で甲子園優勝できますように!』


田島『ゲンミツに次のテスト全教科100テン!!』


巣山『守備がもっとうまくなれますように。』


水谷『世界から戦争がなくなって平和になりますように。』←


泉『誰にも負けない打者になれますように。』


花井『甲子園優勝。』


西広『水谷よりうまくなりたい。』←


篠岡『みんなが健康でありますように。』


百枝監督『みんなを甲子園へ連れていけますように。』


志賀先生『みんなの成績が上がりますように。』←←←




――――キリトリ――――


七夕記念作品!
阿三の甘甘でいきまし
た^0^

おまけのところなんで
すが、モチ作者の独断
な思いつきで書いたお
願いごとですw

水谷は願い事でもうざ
いんではないかという
…(ファンのかたすみ
ません)。

あと西広の願い事はマ
ジだと思うwww

志賀先生もマジですw






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