(!)ホラーに近いシリアス。
   田島のキャラ崩壊注意。










夢のなかで殺された小鳥





「昨日な、家で飼ってた、¨梓¨が死んだんだ。」


田島は下を向いて、嗚咽を漏らしながら言葉を紡いでいた。
梓と呼ばれたのは、田島の横に座る¨花井梓¨のことではなく、田島家で飼われていた、オカメインコの¨梓¨のことだ。


「そりゃ残念だな…」


勝手に人が気にしてる名前をインコにつけやがって。飼いだした当初に、「花井の¨梓¨って名前借りていい?」て満面の笑みで言ってきた。そのあとにも、今にも、俺は許可した覚えはないけど。


「ひっく…あず、さぁ……」


俺の名前、だけど、俺じゃないその名前に、俺は肩を揺らす。

田島の涙は一向に止まりそうにない。そういえば、今は部活終わりの放課後。部員は俺達以外は帰ってしまった。


「あず……インコだって、田島に感謝してると思うぜ?可愛がってもらったってな。」


危ない。もう少しで¨梓¨って言うところだった。何か言いたくないんだよな。つかまぎらわしい。


「ぅう…ひっ……」


放課後の空の中。
残っている生徒を追い出す放送が聞こえてきた。嗚呼、帰らなくては。


「…とりあえず、帰ろうぜ?家まで送ってやるから。」


「……ぅ…う、ん…」


涙を両手で拭う田島に代わって、田島のカバンを持つ。右腕で田島の肩を抱きつつ、部室の扉を閉めた。






「あら、花井くん、ごめんなさいね。」


田島の家に着くと、田島の母がわかっていたとばかりに丁度玄関で帰りを待っていた。

俺は、「いいえ。」と短い返事をして、玄関に田島のカバンをそっと置いた。

無言に顔を隠したままの田島はゆっくりと靴を脱ぎはじめていた。
田島の母はその田島の姿に、哀れむ瞳を向けていた。


「花井くん、本当にありがとうね、送ってくれて。」


「いいんすよ、仲間ですから。」


「相当ショックだったみたいでね…」


田島は既に家の中に消えていた。


「はい…」


田島の啜り泣きが遠くから聞こえた。







その夜、夢をみた。
俺は何かの篭の中にいるようだった。

すると、目の前に田島が現れた。
田島の表情は明るく、鼻歌を歌いながら近づいてきた。


『¨梓¨!!ただいま!!』


(梓…?)






その時だった。
強い衝撃が地を揺らした。

目の前にいる田島を見ると、そこには狂気に満ちた瞳があった。

篭は強く揺れ、中にあった水入れや餌入れが激しく零れた。


(田島っ!!やめてくれっ!!!)


声が出ない。何故。
田島は低く唸りながら俺を睨んでいた。
俺は初めてその時、田島に恐怖を感じた。

そして、次に田島の口からでてきた言葉に、俺は、瞬間に夢から覚めた…―。









「はっないぃー!!おはよぉー!!」


グラウンドには既に田島の姿があり、昨日とは全く見違えるほど元気溌剌としていた。

しかし、俺はいつも通りのテンションで挨拶が出来なかった。


「っ…はよ……」


「?…花井、昨日はありがとうな!!とても助かったぜ!!」


「あ…い、いや……」


そうだ、今思えば、田島は。
あの放課後の部室で、本当に、泣いていたのか?思い出せば、田島の目から涙をみなかった。

ただ、目を擦り、嗚咽を繰り返す田島を見ていた。


「でも…俺が、¨泣いた¨ことは、ゲンミツにみんなに言うなよ?三橋にも!!」


あれは、真実なのか。
目の前にいる田島は、あの夢の中にいた田島と同じなのか。


「…はは、言わない、よ……」


「ゲンミツに約束だぞ!!!」


と、グラウンドへかけていく田島。
光に照らされる田島の背後には、長い影が伸びていく。

俺はそんな景色に寒気を覚えた。



嗚呼そうだ。
あれは、¨田島なのだ¨。
紛れもなく¨田島悠一郎¨だ。








『¨花井¨…殺してやるからな…ゲンミツに……』


田島は篭の中の¨梓¨に囁いた。






end





――――キリトリ――――


つかシリアスっつーか
ホラーに近くなった。
つかあれだ。
世にも奇〇な物語的な
感じだ!!←

田島を怖くしてみたかっ
ただけなのよ。







|


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -