(!)阿三の甘甘。






ストロベリーの庭にて




三橋は俺のバッテリーで、俺の恋人で、俺の大切な人だ。そんなことはわかりきったことであって…。


「………三橋、何でコレがわかんねぇーんだ…?」


「ひっ!!ご、めんなさいぃ〜!!」


部活のメンバーで勉強会中。
田島は花井と西広が、三橋は俺と栄口が教え、あとのメンバーは自主勉強兼ねて田島と三橋を教えるサブメンバーに回っている。

阿部のドスの効いた声が、三橋だけではなく他のメンバーをも怯えさせた。


「あ、阿部ぇ〜あんまり強く言い過ぎないほうが…」


「栄口、お前はコイツを甘やかし過ぎなんだよ。何で、こんな基礎問題がわかんねぇーんだよっ!!」


「ご、ごごめ、んなさぃっ…!!」


と、こんなやり取りをずっと続けた。
隣では、田島の無駄に明るい声と、花井の飽きれ声と、西広の苦笑いが聞こえてきた。

その間に挟まれた栄口は、唖然と三橋のノートと自分のノートを見比べた。







「次の問題はわかるか?」


「ぅ、うん……」


と、三橋はぎこちなくペンを動かした。
そして、三橋が教科書のページをめくろうとした時。



「っ…!!」



三橋の指から赤い血が流れた。
よく見ると人差し指には綺麗で真っすぐな赤い線が刻まれていた。


「っ!?…三橋…!!」


指を押さえて痛さを我慢する三橋の姿に、阿部が動いた。

阿部は、三橋の指を掴んだ。


「三橋、大丈夫か…?」


「ぅ、ん…だいじょ、ぶ…」


すると、阿部は、三橋の人差し指を口にくわえた。


「「「っ!!!!???」」」


阿部の行動に、他のメンバーが驚愕な表情で阿部を見つめた。

そして、指に吸い付いた。


「ちゅ…、ん……」


三橋も顔を真っ赤にさせて、体中から熱を出した。


「あっ、あ、阿部、くっ…//んぁ…//」


三橋は小さな声で喘いだ。
そんな二人の姿に、免疫のない花井や栄口や沖や巣山、西広が顔を赤らめた。

他のメンバーがいるのにも関わらず、二人だけの空間になっていた。


「ん……三橋、痛くないか…?」


「だ…だい、じょう、ぶなんだけど…//」


「あぁ?」


と、三橋が恥ずかしそうに他のメンバーに視線を送ると、阿部が機嫌悪そうに見つめた。


「「「………//」」」


全員が顔を赤らめて、二人から視線を外していた。

すると、阿部が。


「花井ー」


「!?…なな、何だっ?!//」


花井は動揺が隠せないようで、手に持った英語の単語帳が逆になっていた。

そんな花井に、嫌に笑みを浮かべながら呟いた。





「何にも見てねぇーよな?」

と、いつもはしない嬉しそうな笑顔で。






そんな阿部の笑顔に、全員の背筋が凍ったのは言うまでもない。




end






――――キリトリ――――


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