(!)甘甘な花田?田花?














春風と単語帳




とある日曜日の午後。
春風が通り抜ける花井の部屋で、花井の肩にもたれて眠る田島。

外からすずめの泣き声が聞こえる。




今日は花井の家で勉強会をしよう、と田島の提案だった。
しかし、気づけば田島は夢の中。


「……はぁ……」


田島の諦めの早さに小さく溜め息をつく。
花井は眼鏡越しに英語の単語帳を眺めた。

すると。


ツンツン、と田島のもたれる肩にあたる刺激。
花井は、反応して横を向くと。


「…はな、い…」


寝ぼけた田島がいた。


「っ!!……た…田島?どうした?」


そんな寝ぼけた田島に胸をキュンとさせる花井は、間を取って平常心を保った。

田島は首を傾げて、ニコリと笑った。


「…はーないー…」


まだ寝ぼけているようで、横から花井の首に腕を回して抱き着いてきた。


「っ!!?」


いきなりの田島の行動に、花井は顔を真っ赤にして、おどおどとしていた。

ドサリ、と英単語帳が花井の腕からは落ちた。


「った、田島っ!!??」


「はないー好きーっ」


田島に押し倒された。
寝ぼけたいた田島は、もうすでに覚めているようだった。

真剣な眼差しで花井を見下ろしていた。




「花井…キスしてい…?」




「は…?」と、あっけらかんな花井の声を無視して、唇を重ねた。

数秒間の短いキスの後に、「眼鏡邪魔…」と呟いて、眼鏡を取り払った。


「ったじ…ま…」


「花井…」


花井の頬を両手に挟んで、またキスをした。







「……花井…好き……」


春風に揺られたカーテンは美しくなびいていた。
温かな陽射しの中で二人は甘いトキを過ごしていた。

横に放置された英単語帳は、落ちた時に、荒々しく開かれてしまっていたようだ。





end



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