warning

シリアス。
田島が体を壊して引きこもり。

高校生→社会人パロ?



















あの時、温かな陽射しが俺のところまで届かなかった瞬間だった。






温かな陽射し






家に篭ってから何年経っただろうか。


あれは突然だった。
バッティング練習の時、いつもと変わらず好調の、はずだった。
バットを振った瞬間、背中に激痛が走った。



ッ!!!...あれ...体が...。



倒れ込んだ。
眩しい陽射しの中、沢山の呼び声が聞こえた。しかし、呼び声に耳を貸すところではない痛みは激しく、途中から痛みに意識を失った。






病院に運ばれた。





医者は深刻な顔で言った。





もう野球は諦めなさい、と。





絶望感でいっぱいだった。
誰もが「田島悠一郎」という人物を哀れんだ。

俺は、死んだ。




体がダメになっても、今までの功績などで推薦をもらったが、大学には行かなかった。
行く気がなかった。


それからは学校もあまり行かず、クラスメイトや野球部の仲間とも話さなくなった。

卒業間近。先生たちのおかげで、ギリギリで卒業できた。
しかし、それからは家にずっと篭った。





痩せた体、落ちた筋肉、元気が出ない気持ち。未だ残る心の傷。
みすぼらしい自分。

誰もわからないし、わかられたくもない。

もう、ほって置いてくれよ。
それが本音、なのかな?











「悠、お友達よ。」


いつもと変わらない日だと、思っていた。

少し遠慮がちのノックのあとに聞く母の声。



友達?誰だ?

そうして暫くして、もう一つのノックが聞こえた。





「...田島...。」



聞き覚えのある声。
凄く好きで、今まで忘れていた声。




「...は、ない...?」


あの青春を共にした、仲間、愛する人、花井梓。
本当に久しぶりの声だった。



「...久しぶりだな...田島。」


扉の向こうにいる愛する人。
そう、俺達は付き合っていた。

しかし、あんなことがあってから、まともに話さなかった。そして、自然破局した。はずだった。



「...元気か?」


「......」


「...飯は...食ってんのか?」


「......」


「...おばさんから聞いた。お前、あんまりちゃんと食ってないって。ちゃんと食えよ...。」



本当に昔と変わらない花井の口調。
しかし、それは、凄く胸を締め付けた。

懐かしく、大切な青春の日々。



「...田島、今までごめん、な。」

「...もっとお前のこと、見ていたら...」

「俺...お前を見捨てた...」

「大切な恋人を見捨てた...」


花井の懺悔に近い言葉は続いた。


「俺と...やり直してくれ...みたいな綺麗事は言わない。ただ...お前の痛みを教えて、くれないか...?」


「......っ!!」


「...今更かもしれないけど...俺、お前の...」





バタンッ!!!と激しい音が響いた。


花井は、目の前の状況に目を見開いた。



田島の部屋は開かれていた。
そして、目の前には、田島がいた。




「...た...じま...!!」



「花井...」



田島の光のない虚ろな瞳には、花井が写っていた。
少し窶れた顔、表情はない。




「っぁ...ぁあ....」


田島は下を向き、唸りだした。
床には水滴が落ちていた。



「俺は...忘れたかった...。
野球も、あの時のことも...仲間や、花井のことも...なのにっ!!!!....っぁ」



気がついたら、花井の胸の中にいた。
強い力で抱き寄せられていた。少し骨が痛いくらいに。


「っは...はなせ...!!」


「離さないっ...」


「...っ!!?」


「ここでお前を離したら...もう会えなくなる...ずっと...だから、離してたまるかっ」


耳にかかる花井の息が、とてもこそばゆく、懐かしかった。



「ぁぁ...あああぁ...」



目からはとめどなく涙が流れ、止まらない。
懐かしいにおい、懐かしい温もり、懐かしい優しさ。





「もう...一人で抱え込むな...俺がずっとお前の側にいるから...」





その言葉のあとに、君の首に回した腕は、信頼と懺悔と幸福の証。





ほら、あの懐かしい、温かな陽射しが、俺のところまで届いた。









end






――――キリトリ――――


田島を助けにきたヒー
ロー花井くんっ。

このあと、田島は元の
明るい田島に戻って、
ずっと永久に花井と幸
せになりました。


匿名様に助けて貰いま
した。
リク内容「花田」。






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