warning!!

悲恋ネタです。
それに、無駄に長いです。

















「ずっと、愛してるから...」



そう言って、田島は花井の胸から離れて、花井に手を振った。
花井は田島のいた感覚を確かめるかのように、自分の胸を抱いた。









別れ道








今日は、卒業式。



ある奴は、誰もいない教室で自分の席に座り外を眺める。
ある奴は、後輩から花束を貰って泣いている。
ある奴は、先生から最後の激励の言葉に涙を流す。
ある奴は、三年間共にしたバッテリーでグラウンドにいた。
ある奴は、同級生と語りながら帰り道を歩いていた。
ある奴は、同級生とゲームセンターで最後の思い出作り。















そして、花井と田島は二人で放課後の誰もいない屋上の端で座り込み、語らった。


「花井...合格おめでと。」


「ありがと。」


花井は第一志望の大学に合格したのだ。田島は空を見上げながら花井に祝いの言葉を述べる。
花井も同じく、空を見上げていた。



「花井は、大学でも野球するのか?」


「...わかんね...」


「...そっか」


花井は空虚な感覚に襲われた。
そして、田島の調子を感じ取り、ある言葉を口にした。




「...田島、お前...プロ目指すんだろ?」




グラウンドからは、野球部の後輩たちの声が聞こえた。


田島は、空へ向けていた瞳を、そっと花井へ向けた。


「...やっぱ、知ってたんだ...」


「...水谷から聞いた。」


「んだよっアイツ...お喋り...」


「で...お前、北海道行くんだろ?」


田島の肩は、少しばかり震えていて、表情は今にも泣きそうだ。


「そこまで...うん...行く。
もう...あまりココに戻ってこれないと思う...」


「そか...寂しくなるな...」


「へへっ...三橋には言うなよっ!三橋にはもっと後に驚かせたいからさっ!ゲンミツにっ!!...」


「...三橋、ぜってー泣くな。」

「...あはは...だろーな...ぅ...」


とうとう田島が泣き出した。
泣き顔を見せまいと、両手で顔を隠す。

花井はそんな田島の姿を見つめた。



「っひ...お、れ...頑張るからさっ...花、井、応援してくれよっ」


顔を隠す腕の中で口から笑みが零れた。


「ああ...」


「ずっと...応援しろよ...」


「ああ...」


「俺の、こと...忘れん、なよ」

「...ああ...」


「遠く、行って...もぅ...帰って、これないけど...俺のこと...忘れないっで...!!!」


瞬間に、田島は花井の胸の中にいた。
花井は田島を強めの力で抱いた。


「...わかったから、ぜってー忘れないから...」


「うん...」


「...ずっと...お前がプロになって...」


「...う、ん...」


「引退するまで...ずっと...」


花井は言葉を止めた。
そして、田島の首元に顔を埋めて泣いた。


「...花井...ありがと...









ずっと、愛してるから...」

















数年後。



「花井くん、あそこ行こっ」

「お前さぁ、早過ぎ...」

花井の右手を掴んでいるのは、大学で出来た同じ学部の、彼女。


「だって、久しぶりのデートでしょ?」

「まあな。」

「だから、嬉しいんだよ!!」


そう言って、誰かに似ている、太陽のような笑顔を浮かべて、花井の手を引く。



ふと、家電量販店の前を通った。
ウィンドに並ぶテレビの中には、懐かしい顔が映っていた。




『ホームランッッ!!!
田島、今日も絶好調ですっ!!』




アナウンサーの歓喜の声と共に、ガッツポーズをして仲間に頭を撫でられる、過去の愛しい人、田島。

田島は自分の夢を叶えて、プロの野球選手になったのだ。


昔と変わらない田島の姿。




花井は一瞬の田島の姿に、「ふふ...」と小さく笑みを浮かべて、彼女の後ろ姿を追った。







さよなら、過去の愛しい人。







end







――――キリトリ――――

シリアスにしようとし
たら、気がついたら、
悲恋ネタになってた
あと、作者はあまり野
球についてはめっちゃ
詳しい訳ではないので
何か設定がごっちゃご
っちゃですが、まあ温
かい目で見てくださる
と嬉しいです


匿名様に助けて頂きま
した!!
ありがとうございます







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