Ofuri long novels | ナノ
03
「あれ?本当だ、三橋は?」
まわりを見渡しながら巣山が言った。
「俺さっき、部室に戻る時は一緒にいたのは覚えてるけど...」
「便所じゃねぇの?」
「...俺もそう思って20分前から三橋のこと探してるんだけどさぁ...戻ってきてないよ?」
栄口は少し不安な表情を浮かべ、シャツのボタンを止め終えた。
そして、他のメンバーも少し疑問・不安を感じた。
「ん〜大体のメンバーが着替え終わってるしさぁ誰か探して来いよ。」
突如、口を開いたのは泉。
「じゃ誰行く?」
「オレ行ってくるよっ!!」
田島は元気に手を挙げ、外へ出ようとした。
そんな田島を見た花井が、田島の襟首を掴んだ。
「っぐぇ!?何だよっ花井!!」
「おめぇは行くな!
お前絶対三橋と同じく迷子になんだろっ」
「三橋は、まいごって決まってないぞ!」
「何にしろ、おめぇは行くな。」
「じゃーどーすんだよっ!!」
田島がギャーギャーと喚いている。
花井は、ある一点を見つめた。
「阿部、お前が探してこいっ」
「はぁ?!俺??」
阿部はいきなりのことに驚いた。
「バッテリーだろ?
こんな時こそお前の出番だっ」
「ちっ...めんどくせぇ...」
「行ってこいーキャプテン命令なっ」
「あああー、わーたよ...」
扉へ向かい、開けると土砂降りの空模様が広がる。
阿部は静かに、土砂降りを見つめながら渡り廊下を歩いた。
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