Ofuri long novels | ナノ




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俺の後頭部に感じる生暖かいものが、阿部くんの血であることは間違いない。
手で触らなくてもわたる、生暖かく、空気に触れて髪にくっついたまま固まりかけてぬるっと床を滑る感じ。

俺は目の前の狂気に震える事しか出来なかった。


「や、ゃだ…阿部、く…!」

「もう、止めねぇ……」


キスをされて混乱したままにも関わらず、もう阿部くんは次の段階へ進もうとしていた。
阿部くんの手は俺の服を捲りあげようと服の端を掴んでいた。
さっきまでの半狂乱の阿部くんから一変、理性が擦りきれてきているようだ。

俺は弱々しく捲りあげようとする力を止めようと阿部くんの手を掴んで抵抗する。


「やッ…」

「お前の抵抗なんて効かねえんだよ。」


そういうと、俺の手を片手で掴んだと思ったら、頭の上に両手を片手でだけで固定されてしまった。


「ひぃッ」

「あぁ…ごめんな、三橋。
 俺もう余裕ねぇんだ……。」


すると、乱暴に服を上げて乳首に噛みついてきた。
ビリッとした痛みが体を貫いた。一瞬、噛み千切られたと思ったほどにだ。

痛みに歪む俺の顔を見てなのか、次は舌を使って優しく舐めてきた。乳輪の円を何回も舐め回し、そして乳首を唇で強く押す。その繰り返しが続いた。


「っく、…気持ち、わっる、ぃ……」


男の自分の乳首を男が舐めているだなんて、何て酷い絵だ、と頭の中で叫ぶ。

阿部くんを見ると、目が合い、にやりと笑い返してきた。
恐怖心が募る。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。




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