Ofuri long novels | ナノ
36
三橋の上に座っていると、激しい鼓動を感じることができた。
今にも潰れてしまいそうなほどに強張った心音に、笑みが溢れた。
そんな俺の姿に、三橋は目を泳がしたまま恐怖していた。そして、軽蔑の眼差し。
嗚呼、堪らなく、三橋が愛しい。
「三橋…好き、だ……」
「へ……?」
好き。
無意識に本音が口から漏れだしていた。俺自身、驚いてしまった。
「あ、べくん…?」
「好き、なんだ…三橋のことが…」
ドロドロの愛が口からだらだらとみっともなく漏れだしてくる。
三橋は理解できない様子で、目を丸くして俺を見ていた。
「っ」
「好き、好き好き好き好き好き…三橋の髪が、三橋の鼻が、三橋の目が、三橋の口が、三橋の耳が、三橋の首が、三橋の手が、三橋の身体が…好きなんだ…。」
「あ、阿部く…や、だ…!」
「拒絶しないでくれっ…」
「っぃ…!?」
恐怖、拒絶、軽蔑。三橋の顔からはこの全てが語られている。悲しみとか投げやりとかそういう悲しみはない、ただ三橋への愛だけ。
そして、三橋の肩を掴み、そのまま唇を奪った。
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