Ofuri long novels | ナノ




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振り向けば、そこには見慣れた副キャプテン、キャッチャーの。


「…阿部。」


阿部は、花井を見据えて立っていた。
そして、阿部の無の表情は自分の中の恐怖を逆立てた。


「…っお、沖がっ!傷だらけで…」


必死に混乱した頭の中で、言葉を紡いで阿部に話す。
阿部は沖を軽く一瞥すると短い言葉で答える。


「見ればわかる。」


そういうと、阿部は近づいてきた。
花井の服には、小さく沖の血が付いてしまっていた。
そうして、阿部は二人の前で止まると、瞬間のことだった。



…バシンッ!!!!



花井の頬に、鈍く強い痛みが電流のように流れた。
驚いた目で前を向くと、阿部は、"笑っていた"。


「花井…そいつ、沖をやったの俺。」

「……は、」


花井の頭の中は、混乱を越えてパニックになった。
沖は傷だらけ、阿部に頬を叩かれ、一瞬の中で多くのことが起きすぎて訳がわからなくなっている。

そして、その気味悪い笑顔の意味も。




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