Ofuri long novels | ナノ




27




部活が終わった放課後のこと。
部室には誰も居ない。
今日沖は日誌当番なので、監督に渡しに行っている。
花井は静かに沖が帰ってくるのを待っている。

この静けさが、逆に異様な空気を漂わせている。


「ガタンッ!!!」


突然、扉に強く鈍い音が響いた。
その音に花井は飛び上がる程驚いた。


「…お、沖か?」


驚きに詰まった喉からは弱々しい声が漏れる。しかし、何の返答もない。
また静かな部室になった。
花井は恐る恐る立ち上がると、部室の扉の前に立つ。
ごくり、と溜まった唾液を飲み、ゆっくりとノブを回した。



すると、そこには。



「沖っ!?」


扉の隣には、傷だらけの沖がいた。
頬には痛ましい殴られた痕、そして殴られた影響でか口の端が切れて血が出ている。


「お、沖っ!?どうしたんだっ!!」


肩を掴み、叫ぶが意識がない。
ただ小さく息をしていて、生きていることだけが確認できる。


「…何が…誰がこんなことを……」


「…どうしたんだ、花井…?」


冷たい声に背筋が凍るのがわかった。




[ 28/39 ]
[*prev] [next#]
[bkm]
←back
←top



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -