Ofuri long novels | ナノ
27
部活が終わった放課後のこと。
部室には誰も居ない。
今日沖は日誌当番なので、監督に渡しに行っている。
花井は静かに沖が帰ってくるのを待っている。
この静けさが、逆に異様な空気を漂わせている。
「ガタンッ!!!」
突然、扉に強く鈍い音が響いた。
その音に花井は飛び上がる程驚いた。
「…お、沖か?」
驚きに詰まった喉からは弱々しい声が漏れる。しかし、何の返答もない。
また静かな部室になった。
花井は恐る恐る立ち上がると、部室の扉の前に立つ。
ごくり、と溜まった唾液を飲み、ゆっくりとノブを回した。
すると、そこには。
「沖っ!?」
扉の隣には、傷だらけの沖がいた。
頬には痛ましい殴られた痕、そして殴られた影響でか口の端が切れて血が出ている。
「お、沖っ!?どうしたんだっ!!」
肩を掴み、叫ぶが意識がない。
ただ小さく息をしていて、生きていることだけが確認できる。
「…何が…誰がこんなことを……」
「…どうしたんだ、花井…?」
冷たい声に背筋が凍るのがわかった。
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