Ofuri long novels | ナノ




25




「西広、久しぶり。」


騒がしい教室の中、沖は席に座り、無表情の西広の目の前に立つ。


「沖…?」


沖の言葉の数拍後に、か細い声で呟いた。
そう言って、ゆっくり沖へ顔を向けた。


「大丈夫?」と優しく問う。

「大丈夫。」

「そっか。」

「うん。」


そこで会話が止まった。
西広は、沖から目線を反らした。
沖は西広を見つめ続けた。


「西広…何、されたの。」

「…っ」


沖の言葉に、西広の肩が少し震えた。


「……に、何されたの?
俺、あの時…いたんだ…あの場に。」

「っ…」

「…に、何を……」



「うっ、るさいッ!!!!」



騒がしい教室の中に、西広の叫びは響き、木霊した。
瞬間に静止する教室。
沖は西広の叫びに唖然とした。
当本人は、下を向いたまま唇を噛んでいた。


「…沖、ごめん…放って置いてくれない、か?」

「……」

「一人にしてくれないか…?」

「…わかったよ。」


教室中にいる生徒たちの目線の先には、淋しそうな表情を浮かべた沖と、苦そうな表情を浮かべた西広がいた。




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