Ofuri long novels | ナノ
23
「…知らない。」
無言から発せられた否定。
しかし、そこ言葉は分かりやすいほどに、何かを隠していると察してしまう。
田島は軽く疑いの眼差しで沖を見つめたが、沖は目を反らす。
「ま、西広には早く来て欲しいな。」
浜田は沖と田島を交互に見ながら呟く。
田島は納得がいかなさそうに、食べ終わった弁当を直して、黙って机へ突っ伏した。
「あ、そういえば、今日部活ないなんて珍しいよね。」
「えっ!!!ねぇーの!?なんで!?」
沖の一言に、さっきまでの沈黙はどこへと言わんばかりに田島が叫んだ。
田島の突然の大声に、沖と三橋は体を跳ね上げた。
「お前なぁ〜!朝聞いてなかったのかよ。今日、午後から土砂降りの雨が降るって100%の確率らしくて中止。中練習したくても、監督は急のバイトが入ってしまったからとかで今日は中止。」
「聞いてねーよッ!!!」
田島の叫びに、呆れ混じりの溜め息を漏らす泉。
「三橋は聞いてたよな?」
「ぅ、えッ??!」
自分にふられるとは予測していなかったようで、すっとんきょうな声を上げる。
「き、聞いて、たよッ!!!」
「ほら見ろ、三橋はちゃんと聞いてたって言ってんじゃん。」
「えぇー三橋は仲間だと思ってたのに……」
「へッ!!あっぅ…ごめ…」
「三橋は謝る必要ねぇよ、悪いのは話を聞いてない田島だ。」
「泉つめてぇー!!!」
「あはは。」
沖を合わせ、9組は賑やかに昼食のときを過ごしていた。
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