Ofuri long novels | ナノ




21





1週間。西広が学校を休んで1週間が経っていた。


「西広…どうしたんだろ…」


9組の昼食の話題は、西広のことになった。
泉は、箸の動きを止めて、下向きに言葉を発した。

そして、泉の言葉に、三橋も田島も、浜田でさえ箸の動きを止めて、泉に視線を移した。


「…風邪にしては長すぎないか?」

「まあ確かに風邪にしては長いな。それも、あの西広がな。」

浜田はいつもなく真剣な眼差しでいた。1週間も部員が欠けてしまうのは、野球部としても痛手を負うことだし、部員たちからしてもとても心配なことだ。

そんな様子に、三橋と田島は黙って二人を見つめていた。


「あの…」


ピリピリとした空間にひとつの声が降り懸かった。
声の方向を振り向くと、一番西広を心配している奴が立っていた。


「あっ沖。」


泉が振り向くと、そこには、滅多に9組には現れない珍客の沖の姿があった。
沖は、片手に弁当の包みを持ち立っていた。


「あのさあ…いきなりで悪いんだけど……一緒に食べて、いいかな…?」


そう言って、下を向きに申し訳なさそうであり、恥ずかしそうに、はにかんだ。
その言葉にいち早く反応した田島が、近くにあった空席の椅子を取ってきて、横に置いた。


「一緒に食おーぜっ!!!」と、椅子をバンバンと叩いて、笑顔で沖を招いた。

そんな田島にとても嬉しそうに照れ笑いを浮かべながら椅子に腰を据えた。


「ありがとう。」

「沖が9組に来るとか珍しいな。」と、泉はおかずを口にかみこみながら呟いた。




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