Ofuri long novels | ナノ
18
三橋は、また違和感を覚えた。
阿部の言葉は正しいのに、どこか違うものを感じていた。
それは、また恐怖というべきなのか、それともまた違うものなのか。
三橋は花井の言葉に、自分がまだ着替えていないことに気がついた。
そうして、そそくさと着替えていると。
「まだ着替えてなかったのかよ。」
阿部だった。
誰もいない空間にたった二人だけが残されていた。
「ご、めんね...阿部、くん..先行ってて。」
「...」
すると、阿部は無言で上着を三橋の肩にかけた。
そして、ボタンに手をかけた。
「っ阿部く、んっ!!!自分で、着れるよっ!!」
「二人の方が早い...はい、終わり、ほらっお前はさっさとズボン穿け。」
三橋はびっくりしたまま、挙動不審でズボンを穿きだした。
そんな三橋の様子に、阿部は呆れ顔で笑っていた。
そんな阿部の表情に、三橋は安堵した。
「着替..え..終わっ、たよ。」
「じゃ、行くぞ。」
そう言って、三橋の手を引っ張った。
三橋はどぎまぎした。
そして、グラウンドへ走った。
阿部はそんな三橋の表情をずっと、無表情で、見つめていた。
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