Ofuri long novels | ナノ
14
「ったく、おめぇら暇だなぁ...」
がやがやとした空間に呆れた阿部の声がみんなの耳に届いた。
「なんだよー阿部ぇ!!
キョーミねぇーの?」
田島は阿部の肩を叩いた。
叩かれた肩を手で軽く払う仕種をして、田島を見つめた。
「興味が無いわけじゃねぇよ?
ただ...俺にとったら全く面白い話じゃないからな。」
そう言って、田島に感情のない笑顔を浮かべて見せた。
田島は一瞬「えっ?」と、頭の上にハテナマークが浮かんだ。
しかし、田島は一瞬無表情になってから再び笑顔を浮かべ直した。
「え〜!!ほんっと、阿部って三橋に冷てぇーなっ!!!」とまた肩を叩きながら笑っていた。
他のメンバーも田島に釣られて笑い出した。
「花井。」
「何だよ、西広。」
「・・・何か、一瞬・・・一瞬だよ?・・・が、怖かった・・・。」
「えっ・・・」
花井は、西広の発言に呆気をとられた。そして、西広を見つめた。
西広は、ユニホームを着ながら、他の部員に聞こえないように小さく声を殺した。
「最近さ...怖いんだ...」
「何?」
聞き返し、阿部の顔を横目で見た。
しかし、いつもと変わらない、めんどくさそうに田島を見つめる垂れ目。
「別に怖くない、つか、いつも通りだろ?」
「違うよ。」
西広は小さな声ながら、はっきりと強調して言った。
「・・・三橋を・・・見てる時・・・」
「三橋を?それはいつものことじゃねーの?」
「違うっ・・・練習中じゃないんだ・・・この間、三橋がいなくなった時の・・・・・・」
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