Ofuri long novels | ナノ




12





「ふーん、付き合うのかぁ。」


自分から聞いたのに、阿部は興味なさそうに言った。
三橋は、そんな阿部の反応に「...う、ん。」と呟くことしかできなかった。


「しっかしさあ、まあエースはモテんな。」


「えっぁ、そ、なのかな...?」

「そうだろよ、俺なんか全くだぜ?
目が怖ぇだの、言葉がキツイだの...」


「あっ...そう、かも.....」


「ああ?」


「っ!!!?なっ何もない、ですっ!!!!」


三橋は肩を震わせ、顔を真っ青にして全力で否定した。
阿部は、三橋を鬼の形相で見つめた。


「三橋ぃ〜!!!」


「ひぃ..!!っけど、阿部、くんは、カッコイイと、思う...よ?」


そう言うと、阿部の怒りの表情から、驚いたような表情をした。


「...」


「だって、阿部くん...いつも、輝いて、て...俺には、ない、ものを、沢山持って..るし...とても、カッコイイッ!!!」


すると、阿部はそれから黙ってしまった。三橋から目線をそらして、椅子にもたれて窓の外を見つめた。

三橋は、怒らせたと思い、阿部の表情をビビりながら覗き込んだ。


外は夕焼け、阿部の顔はオレンジ一色。
しかし、一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、頬の辺りが赤くなっているように見えた。

覗き込もうとする三橋の姿が目線に入ったのか、阿部は三橋に近い側の手で顔を隠した。


「あ、べくん...怒った...?」


しかし、阿部はだんまり。
そんな姿に、怒ったのだと思った三橋は「...ごめん、なさい...」と言った。






「...お前ってさぁ...人を勘違いさせるよな...」


それが、その時の阿部の最後の言葉だった。
そして、三橋はその言葉の意味を理解出来ていない。




[ 13/39 ]
[*prev] [next#]
[bkm]
←back
←top



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -