Ofuri long novels | ナノ
12
「ふーん、付き合うのかぁ。」
自分から聞いたのに、阿部は興味なさそうに言った。
三橋は、そんな阿部の反応に「...う、ん。」と呟くことしかできなかった。
「しっかしさあ、まあエースはモテんな。」
「えっぁ、そ、なのかな...?」
「そうだろよ、俺なんか全くだぜ?
目が怖ぇだの、言葉がキツイだの...」
「あっ...そう、かも.....」
「ああ?」
「っ!!!?なっ何もない、ですっ!!!!」
三橋は肩を震わせ、顔を真っ青にして全力で否定した。
阿部は、三橋を鬼の形相で見つめた。
「三橋ぃ〜!!!」
「ひぃ..!!っけど、阿部、くんは、カッコイイと、思う...よ?」
そう言うと、阿部の怒りの表情から、驚いたような表情をした。
「...」
「だって、阿部くん...いつも、輝いて、て...俺には、ない、ものを、沢山持って..るし...とても、カッコイイッ!!!」
すると、阿部はそれから黙ってしまった。三橋から目線をそらして、椅子にもたれて窓の外を見つめた。
三橋は、怒らせたと思い、阿部の表情をビビりながら覗き込んだ。
外は夕焼け、阿部の顔はオレンジ一色。
しかし、一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、頬の辺りが赤くなっているように見えた。
覗き込もうとする三橋の姿が目線に入ったのか、阿部は三橋に近い側の手で顔を隠した。
「あ、べくん...怒った...?」
しかし、阿部はだんまり。
そんな姿に、怒ったのだと思った三橋は「...ごめん、なさい...」と言った。
「...お前ってさぁ...人を勘違いさせるよな...」
それが、その時の阿部の最後の言葉だった。
そして、三橋はその言葉の意味を理解出来ていない。
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