Ofuri long novels | ナノ




08



「俺見たんだぜ?
三橋が女子に告白されてるところ。」


三橋は寒気で全身に鳥肌がたった。
何故体にそんな異変が起きたのかはわからない。


「やっぱエースはモテるな。」


ただ、阿部の表情は穏やかのようで、何処か恐怖を感じる笑顔だった。


「結構可愛い子だったじゃん。」


暗いせいもあるのか。
ふと感じる、バッテリーへの恐怖。

ただ、何故なのかわからない。


「付き合うのか?
付き合ったら、付き合ったらで野球に手を抜いたら許さねぇからな。」




あれ?怖い。




「お前、話聞いてんのか?」



「えっ!?あ..聞いて、るよ..!」

三橋は心臓が飛び上がりそうになるほど驚いた。
目の前に阿部の顔があったからだ。


「ったく...しっかりしろよ。」

「うひっ」


阿部は、わしゃわしゃと三橋の頭を撫でた。
その感覚がこそばくて笑うと、阿部も微笑んでいた。

三橋はそんな空間が嬉しくて、ニコニコと笑顔を浮かべていた。



しかし、そんな空間が嬉しくても、本当に心から嬉しく思えなかった。



さっきの阿部の恐ろしい笑顔が忘れられないから。










そして、阿部も心から笑ってはいなかった。





ニコニコ笑う三橋の笑顔に憎悪を感じていた。

三橋に愛を感じた。





それを、愛憎と呼ぶことに、だいぶ後に気づいた。




[ 9/39 ]
[*prev] [next#]
[bkm]
←back
←top



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -